表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らの冒険3  作者: じっつぁま
聖魔法
6/10

6話



「やあ、ジュンイチ君。君もドキュン応援団に入らないかい?」


今日もこっそり帰宅しようとしていたジュンイチに、DQN応援団が絡んできた。


「ジュンイチ君の言う通り、応援団の人数を増やすことにしたんだ。見てくれたまえ、この希望者の数!全員ドキュン応援団入団希望者なんだぜ!」


君もドキュン!応援団に入り、ぐわっとした応援をしよう!と書いてあるノートを見せて、中を開き、部員名簿を見せるワタル君であった。周囲を見渡すと、他の2人に囲まれて泣く泣く自分の名前を書いている下級生がいた。


「イヤー、ボクハイイデスヨー」


「残念だな、また気が変わったら声を掛けてくれたまえ、きらっ」


何故か話し方が変わったワタル君に入団を断り、そそくさとその場を後にするジュンイチであった。余計なことを言ったかも?という考えが頭をよぎったが、まっいいかと直ぐ別の事を考え始めるジュンイチであった。


最近は水検知と水操作の魔法を練習するのに忙しいジュンイチであった。爺様のところへ行って、水検知などの魔法の事を聞きに行くと、


「ほっほっほっほ、それはディテクションという魔法じゃ。自分の生み出した水を接触させることによって、周囲の物を感知するものじゃ。他にジュンイチが行っている魔法はクリーンアップとオペレイトじゃな。それぞれ水で汚物を洗い流す作用と、感知したものを動かす魔法じゃ」


との説明を受けた。せっかくなので、その3つの魔法を練習することにしたのである。クリーンアップは以前トイレ掃除した時などに練習したことになっていた様で、使用後疲労感が襲ったり、MP消費量が増したりすることはない。しかし、それ以外の魔法は、まだスキルレベルが低いようであった。使用時に疲労感が出現する理由としては、高レベルの魔法を使用した為だそうだ。今までは水を作り出す”クリエイト”しか使用していなかったため、疲労感を感じることはなかったのだ。レーコやケーゴは高レベル魔法を使っている時には経験した事があるそうだ。


「ジュンイチはまだまだ水魔法を使いこなしていないから、いい機会ね」


などと、余計な一言をレーコからは頂いた。

ともあれ、聖魔法が使えない現状、このディテクションとオペレイトは次のステップアップには丁度いい。ジュンイチは、コツコツと練習に励むこととしたのである。


「ディテクション」


呪文はその魔法を使用する時にイメージする上で重要である。今まで変な呪文を唱えていた時よりイメージがしやすくなり、使用後の疲労度が減った。またMP減少も少なくなった様である。桶の中に水を入れ、綿を混ぜる。呪文を唱え目を瞑り、綿のありかを探る。千切った綿が手に取るように分かるようになってきた。


「オペレイト」


続いて綿を一方向にまとめてみる。ある程度まとまったと感じた後、目を開き、上手くまとまっていることを確認する。その後綿の量を少しずつ増やしてゆき、魔法の難易度を高めてゆくジュンイチであった。



そして、数週間経つのであった。


季節は5月を迎え、そろそろゴールデンウィークの話題が上る頃となっていた。

リョウは相変わらず部活動が忙しく、今度はフェンシングの大会があるそうだ。校庭ではドキュン応援団が威勢よく「かっ飛ばせー、リョウー様ー」などと練習をしていた。何かが違うと突っ込む者はいない様だ。


ジュンイチは相変わらず魔法の鍛錬を繰り返していた。ディテクションもオペレイトもかなり上達してきている。そろそろ頃合いであった。今日はギルドへ行って、実践してみようかと思っているジュンイチであった。そこへ、


「ジュンイチー、ゴールデンウィークどうするのー?」


リョウが話しかけてきた。


「うん、実はガイアの世界の自治領に行って見ようかと思っているんだ」


「えー、私も行きたーい」


「リョウは部活動なんだろ?」


「さぼるもん」


「いや、大会前でしょ?」


「いいもん」


「いいの?」


「ほんとーはよくない」


「うーん、今度夏休みに一緒に行こうよ。下調べしておくからさ」


「うん、分かった。絶対だよ?」


「うん、約束」


夏は夏で大会がありそうだが、夏休みの期間は割とあるので融通がつきそうだ。試験勉強もしなければならないだろうが、1週間くらいは遊びに行くことができるのではないか等と、のんきな考えのジュンイチであった。


「約束だよー」


そういうと、リョウは部活に行ってしまった。

ジュンイチは応援団に見つからないように、こそこそとガイアに向かうのであった。

ギルドに行くと、久しぶりのジュンイチにエミーは快く迎えてくれた。


「久しぶりだね、ジュンイチ君。今日は手伝ってくれるのかい?」


「よろしくお願いします、エミーさん。1人か2人見させて頂ければいいので、お願いします」


「分かった。早速だけど切り傷の人がいるから、見てくれるかい?」


「はい、分かりました」


ダンジョンでスケルトンにかすり傷を負わされた戦士がいた。その傷を見させてもらうことになった。


「クリーンアップ」


まず、傷を綺麗にしてゆく。スムーズな呪文で、以前より楽に傷が綺麗になってゆく。


「ディテクション」


傷の中の治癒物質、主にフィブリンと思われるものを検知する。


「オペレイト」


最後に止血を含め、傷内部を治癒物質で塞いでいった。傷は完璧に閉鎖したのであった・・・



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ