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僕らの冒険3  作者: じっつぁま
聖魔法
1/10

1話



『助けてくださーい、溶けてしまいます。助けてくださ・・・』


『お前に2度目があると思うのか』


『助けて下さい、御主人様。お願いです』


『石も無くし、それでも助けを乞うのか』


『お願いです、助けて下さい』


『そのみすぼらしい考えに免じ、命だけは助けてやる。人形としてな・・・』


そして、その身体は溶解することがなくなったのである。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



佐藤潤一は高校3年生になれた。

以前と異なり楽しい高校生活をしていた。友人も増え、親しいリョウも近くにいる。異世界への思いも薄れ、楽しい現世での毎日に埋もれていたジュンイチであった。


神田先生も持ち上がりで担任となった。

彼が何故この世界に来たか不明であったが、よくよく聞いてみればただ単に来たかっただけの様だ。最初はジュンイチ達への恩返し等と言っていたが、ガイアの世界もサマルカンドの世界も飽きたらしい。レーコにそそのかされて、興味本意でやって来たというのが本音らしい。


しかし、ジュンイチにとっては都合良かった。時たま寝過ごしたり、ちょっとさぼってもお咎めなしである。もちろん最近は楽しい毎日である。特にさぼろう等と考えた事はなかった。


そんなジュンイチに、レーコからの提案があった。


『ジュンイチー、いい話があるから、ファミレス集合ねー』


「だが断る」


『いや本当にいい話なんだってばー』


「いや断る」


『ちなみにリョウは人質でいるわよー』


「卑怯なり、レーコぉ!」


まあ、最初から断れるはずないとは思っていたが、リョウを人質に取るとは思っていなかったジュンイチであった。そのまま急いでファミレスへ向かうジュンイチであった。


「あっ、いらっしゃーい、ジュンイチー」


「ジュンイチ、久しぶり」


「ジュンイチ、先に食べてるわよ」


ファミレスに入るとリョウとケーゴもレーコの隣にいた。どうせ僕が支払いをするんだろうなぁと思いながら、パフェをぱくつくレーコの前でコーヒーを注文するジュンイチであった。


「それでいい話とは?」


「まあ、ゆっくり話しましょうよ。久しぶりなんだし。そっちの話を教えてよ。何か以前と変わった?」


「うううん、変わったことは無いよー。無事3年生にも成れたし、神田先生も優しいし、友達も良くしてくれるしねー」


「そうだね、レーコが聞きたいのは固有スキルが無くなったことだろ?僕なんかはこの世界で使ったことは、ペン回しの時位だったから、異世界に行かない限りは変わらないな」


「そう、ジュンイチはもう異世界に行かないの?」


「今は行く必要も、目的も無いからね」


「目的があったら?」


「実はそろそろ又行こうかなとは思っていたんだ。ただ、漫然と行ってもしょうがないんで、どうしようかなとは思ってたところだけどね」


「じゃあ、目的をあげるわ」


そう言ってレーコが取り出したのは、人体解剖学の本であった。


「何?これ?」


「見て分かんない?人体解剖学の本よ」


「いやだから何で解剖学なの?これで人体を解剖しろとでも?」


「ジュンイチは水魔法が使えるわよね?」


「ああ、そうだけど?」


「でも癒し系の魔法は使えないわよね?」


「そうだね」


「癒し系の魔法は風、光、水とあるけど、一番効率がいいのは水魔法なのよ、知ってた?」


「いいや?」


「癒しの水を使えるには、魔法使いに師事するのが一般的なんだけど、一番手っ取り早いやり方は、人体構造を知ることよ。それで勉強して、聖魔法使いになるのはどう?」


「・・・聖魔法使いになるのは、いい目標になるけど、この本読んで成れるの?」


「考え方次第よ。人間の身体は大部分が水分から出来ているのよ。ジュンイチは水を動かすことが出来るんでしょ?だったら人の身体を理解出来れば、聖魔法を使うなんて簡単にできる様になるわよ」


「ふーん、そういうものかな」


「まあ、騙されたと思って読んで見たら?聖魔法を使えなくても、医者位には成れるわよ?」


いや、それはさすがに違うだろうと思ったが、ここしばらく目標もなかったので、やってみようかなと思うジュンイチであった。


「じゃあその本一冊10万円でいいわよ?」


「あー、じゃあ僕は帰るよ。帰るよリョウ?」


「うそうそ、ここの食事代だけでいいわ。だけど、これで聖魔法を使えるようになったら、きちんとお返ししなさいよ?」


「ああ、分かった」


こうしてジュンイチは、また新しい目的のために、異世界へ行くことになったのであった。


「ところでレーコ達は何しているの?」


「私達も魔法しか使えなくなったんで、実は今、爺様の魔法学校に行っているのよ」


「えー、何でー?」


「私たちはそれぞれ一種類ずつしか魔法を使えないでしょう?だから、それぞれの魔法を極めるしかなくなったのよね。私もケーゴも、自分の魔法を発展させようとしてるのよ」


「・・・今まではステータスのお陰で無理やり高ランクの魔法を使っていたんだが、もう少し理屈に沿った魔法を覚えようとしている訳さ」


「そうすることで、少しの魔力で大きな魔法を使える様になれるのよ。もうじじいと呼んだらいけないわよ?」


彼らは異世界で学生をやっている様だ。

頑張っているんだなと思うジュンイチであった・・・


「パフェおかわり!」


ファミレスでレーコの声が響き渡るのであった・・・



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