真夜中の出来事
僕はリカードとアステルとの事が気になって、眠れなかった。あの時の二人はまるで恋人同士のように見えた。あの後、アイリスハート先生が夕食をご馳走してくれたものの、何を食べたのか、憶えておらず・・僕は放心状態で、すすむられるまま食事をとり風呂に入りべッドで寝ていた。
アイリスハート先生の家は広く、部屋が多かった。僕とデトレフが相部屋になり、リカード、フウマ、ツキハ・・アステル、フブキ、ランスロッテが男子と女子に別れて相部屋になり・・他の人達、アイリスハート先生と女子学生達・・(彼女達も今日は泊まった。)一諸の部屋に眠っている。
時計を見ると12時くらいだった。僕がウーンと唸っていると、デトレフが
「眠れないのかい」と声をかけてきた。 「はい・・」
僕は布団から顔を上げると、デトレフの顔を見た。
「随分と暗い顔しているね・・君」 デトレフが驚いたように言った。
「そうですか・・そりゃそうだ・・失恋しそうなんだ・・デトレフさん・・僕」
「なんで?」
「あんなの見て、正気でいられますか!二人は恋人同士みたいだった・・僕に入る余地はないよ・・あの二人」
「ああ・・アステルさんとリカードさんのあれね。君は少し勘違いしているな」
「えっ」 「リカードさんは今までずっと一人ぼっちだったんだ、それが爆発したんだろう大人だって悲しくて泣きたいことはある・・いや大人だからこそ、悲しいことは多い 大人になったから強くなるわけじゃない 僕たち大人は、常識こそ身に付けるが、本当は大きな子供に過ぎないんだ アステルさんはリカードさんの孤独を理解した・・彼女はすごく感受性が強い・・仲間思いの彼女は、情にほだされて、あの行動・・抱きしめたのさ・・リカードさんを」
「そうですか・・」
「僕は貴族出身だから・・まあ没落貴族だけど、人前では泣けない・・そう教育されてきたから、泣きたい時は、一人の部屋でしくしく泣くさ」
デトレフが、ひょうひょうと言った。そして微かなイビキをかいて寝てしまった。 「そうかもしれないな・・そう考えよう・・」 僕は固く目をつぶり、デトレフに心の中で礼を言い、深い眠りに落ちた。
深夜2時・・昴とデトレフが眠っている部屋に侵入者が・・ フレデリカだ。デトレフのべッドに下着姿で忍び込もうとしている
昴もいるのに大胆にも、だ。だがデトレフのこの寝言で、逆夜這い?を取りやめた
「ううーん・・フブキィーんふふふふ」 楽しい夢でも見ているんだろう。にやにやしてフブキの名を呼んでいる。
「・・フブキてっ・・あのへんな喋り方をする女侍のこと?・・ふん・・あたし諦めない・・デトレフさんの事諦めないんだから・・」
フレデリカの瞳がメラメラと燃えていた。
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