アステルとリカード
リカードは、水晶玉を食い入るように見た。水晶には皇后アンネリースが映っている。
「これはセシリーだ・・どう見ても父親の私だからわかる・・これはどう見てもセシリーだ どうしてこんなところに」
「リカード、落ち着いて・・やっぱりセシリーちゃんなの?」
動揺するリカードを、アステルが静めた。
水晶の中の皇后アンネリースは、まるで自分を捨てたことを恨むような顔でリカードを見つめている。
「わ・・私は、お前を捨てたわけじゃない・・セシリー誤解だ・・許してくれえ」
リカードは、とうとう泣き出した。狂った様に。それを何とアステルが後ろから抱きしめた。
僕はショックを受けた・・雷に打たれたように。あの頼もしい大人の男のリカードが、子供のように取り乱して・・アステルの胸の中で泣いているのだ。 アステルも何故、ずっと年上のはずのリカードを子供の様にあやしているんだ。
君は僕のモノじゃなかったのか・・僕たちの絆は・・あの時のキスは・・ 何故。・・・僕も頭が混乱してきた。アステルとリカードの間に仲間以上のきずなの様な物を感じた。まさか、アステルはリカードの事を?・・・
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