私の愛した者
ズイルバーン帝国の首都アルフィンの郊外にある集落モルドワール。別名魔導師達の巣。そこを一人の男が訪れた。リカードだ。リカードは少しの間スバル達と別れ、ここに来た。
懐かしい風景に、リカードが目を細める。
ここは、リカードが生まれ育ち、新婚生活をおくった地だ。 森が生い茂り、小さな泉がある。ここだけは全然変わらない。監視の目が厳しいアルフィンとは、違い・・ここには魔法の目も入ることは、できない。ここに住む魔導師達が魔法の力で結界を貼っているのだ。 昔、家族で幸せに暮らしていた白い家に行ってみる。白い家はそのままだった。しかし、所々壊れ、朽ち果て、廃墟と化していた。
マグダレーナとセシリーが居た。この白い家・・・だが今は二人はいない。
リカードの瞳から涙がこぼれ落ちる。神様は、どうして私に試練をお与えになのだ。私の愛した者は、ことごとく・・私から去ってゆく。セシリー・マグダレーナ・・そして、実の息子のように可愛がっていたエルンスト。リカードが感慨にふけっていると。・・・
「どうしたの・・神父さん」
後ろから、少女の声が聞こえた。聴き慣れた声が聞こえだ。
リカードが振り向くと、そこにはアステルがいた。
「どうしてここにいるのがわかったんだ」 「千里眼を使ったのよ・・貴方の事が心配でね・・そうしたら貴方の行方が見えたのよ」
「そうか」
りカードが微笑む・・穏やかな笑顔だった。・・その服装からして本当に,神父のように見えた。
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