急展開
監視する魔法の目に、僕たちは窮屈さを感じていた。街のビル・・店・・建物・・所々に魔法の目があった。疲れたので今日の宿を探そうとしていた。リカードによれば、ここでは地上のラダ・ナークの通貨は使えず・・フィナルと言う天空の国の通貨を使うとの事。お金を管理しているアステルに通貨を交換しに行ってもらい、リカードは行きたい所があるといい、一行から離れた。
僕達はあてどなく、街をさまよった。リカードは何しに行ったのだろう。街を案内してもらいたかったのに・・ふと・・高層ビルを見ると映画館のスクリーンの様な大きな画面が現れた。高層ビルのど真ん中・・顔が大写で映し出された。 すると、大きな声が聴こえてくる。アナウンサーのような者か・・明日のニュースを喋ってるようだ。
「明日は皇帝ミカエルド様の生誕祭です・・ミカエルド様は27歳になられました」
皇帝ミカエルド?・・そうだった。リカードの妻・・セシリーの母親を残虐な方法で処刑した男だ・・非道い奴、狂気の皇帝・・僕の世界で余りにも有名な、残虐非道な独裁者の姿を、僕は思い描いた。この監視社会を作ったのも、この皇帝だろう。どんな顔をしているのだろうか・・息を飲むのを忘れ、高層ビルのスクリーンを見上げていた。そこには・・・
金髪の14歳くらいの少年が映っていた。紫色の、どこか幼さを残す瞳・・神に祝福されたような、たぐいまれな美貌の美少年。これが皇帝ミカエルドと言うのか?とても27歳には見えないほど幼く無垢に見えた。
アナウンサーが今度は、皇帝の后、皇后アンネリースを紹介した。
皇后と言っても・・まだ9歳くらいの少女じゃないか! 僕達は、その皇后の顔に見覚えがあった。・・
なんと・・セシリーじゃないか!波打つ金髪の髪・・可憐な顔立ち・・でも、瞳の色が違う。セシリーはブルーの瞳だった。でも皇后の瞳は蠱惑的な紫色だ。 他人の空似か・・でも異常な国だ、9歳くらいの少女が皇后なんて・・ 僕達がそう思った時、またしても驚く映像が視界に入ってきた・・ 皇帝と皇后を護る護衛の騎士の中に、なんとフィオナの姿が・・スクリーンに映し出されていた。
なぜ・・なぜあの二人が、ここに!?
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