温かい食卓
温かい食卓だった アステルお手製の美味しそうな料理が次々と運ばれてくる……「さあ・どうぞ・召し上がれ」アステルがホワイトシチューを よそりながら言った・チーズとマカロニがたくさん入った熱々のグラタン 色とりどりのサラダ 焼き立てのパン 鳥のもも肉……デザートにアップルパイ・短時間で こんなに料理を作れるなんて
しかも どれも美味い 特にホワイトシチューは コクがあり ほのかに甘く・それでいて しつこく無く まあ絶妙な味だ フブキなんて 何杯も おかわりしていた こんな温かい食事と食卓久しぶりだ僕の両親はあの事件以来僕に話しかけない……あまり 食事をしていても僕に気を使い会話なんて無く 凍りついたような食卓だった…… でも 可愛い女の子達と ワイワイガヤガヤの食事の時間は この上なく楽しい 「アステル・どれもどの料理もすごく 美味いよ アステルは将来いいお嫁さんになるな」「そうかしら……」アステルが少し寂しそうに 微笑んだ……僕は少し……気まずくなり・「いやいや……いいコックさんになれるよ」と 付け加えた 「ありがとう……スバル……」ニコリと笑う……まるで天使のような笑顔だった 僕達の甘い雰囲気には まったく無頓着な風のフブキが突然口を開いた…… 「お前はどんな目的でここに来たんだ……小僧」ほっぺたに シチューを べったりつけたフブキが言う 「おまえは このラダ・ナークの人間じゃないな 小僧……どこから来た」……「さすがは 勘は鋭いね・フブキ この人は私たちからみたら 異世界の人間よ シャイアから来たの」シャイア? ……「君が……スバルが住んでいた人間の世界よ……」「そうか ふーんフーン それって美味しいの?」「美味しいワケじゃないの もう アンタは 食べる事と私を暗殺しようとすることしか頭にないわけェ」コツンと フブキの頭をアステルが小突いた……食卓から笑いが漏れ……楽しい夕食の時間が過ぎた……いつの間にか夜中になった フブキがグーグー幸せそうに子どもの様な顔でテーブルに 顔を 乗っけて寝ている……僕もウトウトしてきた……アステルは一人つぶやいていた スバル……君の力が必要なの……この 私たちの世界ラダ・ナークの為にも 君が住むシャイアの為にも……重要なことは明日話すわ 今日は 疲れたでしょう ゆっくり休んでね アステルが ウインクする……でも 僕は眠たくて気づかなかった 月の光りが 柔らかく漏れてくる 余りにも 穏やかな夜だ……この ラダ・ナークという世界に どんな危機が せまってっいるというのだろう……
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