アステルの秘密
悩んだ末、僕は過去の話をした・・僕の生い立ち・・幼馴染の詩音が目の前で・・そして、アステルと出会い・・ここ異世界ラダ・ナークに来た事を・・詩音の事はなるべく、話したくなかった。でも・・隠し事を・・仲間にする事は出来ない。デトレフも、フブキも言いづらい事を話してくれたんだ。
「そうだったのか、そんな悲しい事が・・」
「せっしゃ・・知らなかったで、ござるよ・・そんな思いをしていたなんて」
デトレフとフブキは涙ぐんでいる。
アステルはと言うと・・複雑な顔をしていた。
アステルにも過去があった。誰にも言えない過去・・ミロクの事・・自らの出生の秘密・・だがここでは言えない、そう思った。
僕達を取り囲む、人影があった。 リカード、フウマ、ツキハ、ランスロッテだ。
「エルンストさんは?・・剣術大会は?」
僕が矢継ぎ早に聞いた。
リカードが顔を曇らせながら言う「エルンストは死んだ・・即死だったらしい・・苦しまないで死んだのが、せめてもの救いだ・・剣術大会は中止になった」 「拙者・・何か嫌な予感がするでござる・・世界に暗雲が立ちこめ始めている。そう感じるでござるよ」 フウマがため息をついた。 「あんた達、何みんなで暗い顔してくっちゃべってんのよ」
「あ〜お前は白き魔女!」 いきなり空から聴き慣れた声が響いた。そして僕達は、いっせいに叫んでいた。
白き魔女・・黒いボンテージ風の服を着た、セレーネ・ヴァイスが空中に浮かんでいた。
「もしや・・お前がエルンストを」 「金髪のお兄さん・・それは違うわよ・・あたしも驚いてんのよ・・あの可愛い子が、死んじゃうんだもの あたしは気候や天気を操るなんて高等魔法使えないわよ!」
「高等魔法の使い手 もしや・・」 「金髪のお兄さんは、アルフィンの出身だからわかるでしょ? こんなことが出来るのは、大魔導師だけよ」
そう言うとセレーネ・ヴァイスは消えた。
大魔導師?アルフィン?
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