一目惚れ
一行から離れたアステルは一人、桜がある川の桟橋にたたずんでいた。 アステルは考え事をしていた。フィオナとセシリーの事を・・・
ミロクの力・・行方のわからない人を探す事ができる・・千里眼を使うも、二人の行方はわからず・・アステルは途方に暮れていた。二人が心配だった。 二人は心を閉ざしてしまっている、だから千里眼が効かないのだ。
アガルダは冬から春になったばかりだった。ここは四季があった。
アステルがため息をついた。白い虚無、フィオナとセシリーの事、これからの旅、 世界は知らず知らずに蝕まれているのにここは余りにも平和だ。
どいつもこいつも平和ボケして、気に食わない。その時だった。
侍らしき大男が 何かブツブツと言いながら、桟橋を渡ってくる。 後ろにはキザたらしい服装のやさ男がいた。
「まったく、ツキハお主は困った奴でござる」
侍風の大男はため息をついた。
「酒場の修理代、騒ぎの後始末、すべて拙者が尻拭いをさせられるでござる」
「兄者・・すまない」 キザ男がションボリして言った。 「まったく、お主は・・ん!」
大男が、桟橋にたたずむアステルと目があった。
「なんと・・美しい娘でござろう・・」
大男の目がハートマーク?になった。
大男がアステルに、話しかけた。
「拙者、名をフウマ・サクラと申す者でござる・・拙者・お主に一目ぼれしたでござるよ」 「えっ・・私を?・・フウマ・サクラ・・あなた、フブキてっ妹いない?」
「フブキは拙者の妹だが・・」
「ちょうど良っかった! 私達あなたを探していたのよ」
「えっ拙者を?」
フウマがアステルの手を握りしめた
「拙者達、運命の赤い糸で結ばれいるやもしれぬな」
「やれやれ、兄者はいい女とみるとすぐにこうだ」
「やかましい!ツキハお主は黙るでござる こんな美しいおなご、初めて見たでござる・・お主の美しさは花に例えると・・満開に咲く桜でござる・・華やかで 美しいが、それでいてどこか影があり・・えっーと・・とにかく美しいの一言に尽きるでござる」 フウマは真っ赤になりながら、アステルを褒めたたえた。
「ありがとう・・言い忘れたわ、私はフブキの仲間でアステル・ウオーレムと言うの」
「おおっアステルと言うのでござるか いい名前でござるな それでフブキは どこにいるでござるか」
「他の仲間達とヤオの街を散策してるわ」 もうフウマはアステルにメロメロだった。 その様子をツキハは冷ややかに見つめていた。
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