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父親になる

僕達は ひとしきり、海で遊んだ後 浜辺で休んだ。            もう夕方になっていた。泊めてもらいそうな民家はなく、しょうがなく僕達は 浜辺で野宿することになった。                      


そこらにある木の棒にデトレフが持っていた硬い糸を くくりつけ 捕まえたミミズを 餌にして浜辺の近くにある低い崖で釣りをした。           釣りは僕とデトレフの仕事だ。                     



女の子達(アステル、フブキ、ランスロッテ)とリカードは、捨て木を集めていた 焚き火をするためだ。                                                              


そして集めた捨て木に、リカードが魔法で火を おこした。

                                     

炎は一瞬、七色の光りを放ったと思うと勢いよく燃え始めた。        おおおっー と 女の子たちの歓声が あがる。     




 釣りは大漁とは、行かなかったが・・小さい魚が そこそこ釣れ・・さっそく魚を串刺しに焚き火に あぶった。・・                                                      あぶった魚を食べた後、デトレフと女の子たちは疲れているのか すぐ眠ってしまった。                                 リカードと僕が火の番になった。                                                         


しばらく僕達は、無言だったが・・リカードが口を開いた。                                                                                                                     「スバル・・何を考えている?・・私は君と話してみたかったんだ・・君はどこから来たんだ?」                                                                                                       挿絵(By みてみん)                                                                          「シャイア、この世界ではそう言われてて もう一つの世界です」

                                    「ラダ・ナークの他にもう一つ世界があると 聞いていたが・・シャイアから」                                    


「はい、シャイアにいた時に、大切な人を失いました・・その人は僕の目の前で殺されました・・」                                                                                                                


リカードは黙って聞いていた。                                                        「それも、余りにも無残な・・殺され方で・・僕はその人を守れなかった・今でも悔しく、辛くて眠ると うなされます・・あの時・・あの時・・僕は どうすれば・・」僕は泣き出した・・男の くせに・・声を殺して泣いた。     



「大丈夫か?・・私も妻を見せしめに殺された・・私の目の前で、愛する妻を・・それも理不尽な理由でだ・・」                                                          


「私は妻を生き返らせようとしたが、失敗した・・妻を殺した皇帝に復讐しようとしたが・・それも失敗した・・」                                     



「そうでしたよね・・苦しくないですか、辛くないですか 僕は・・僕は・・ 詩音とあの時死んだんだ、僕の心は殺され 今の僕は魂の抜け殻なんだ」    


「そんな事はない、君は生きている・・私も生きている・・生きなければならない・・私たちは・・どんなに辛いことが あったとしても 生きるのだ・・それが・・宿命だからだ・・死んではいけない」                                


挿絵(By みてみん)

                                                                        「私はマグダレーナを失ったが、セシリーと言う宝物を残したくれた・・セシリーの為に生きなければならない・・」                  暖かい炎が揺れた・・リカードが穏やかに微笑んだ。                                                                      


「君も父親になれば・・わかるさ・・」                                                      「僕が、ですか?・・」                                 


「僕が・・父親なんて想像できません・・」



「今から何十年かかるかもしれない・・父親に なったとしても心は父親になれないかもしれない・・そもそも・・親になるのは難しいのだ・・私も・・まだ本当の父親になれていない・・」





リカードは、寂しそうに笑う。





「あのフィオナという女性は、すごい・・他人のセシリーを我が子の様に育て・・本当に感謝している・・まだ若い娘なのにな・・私より ずっと大人だ・・ 彼女の言うことは もっともな事だ」




今日の月は清らかな感じのする月だ・・闇の中で懸命に光を放っている。                                       


フィオナもセシリーも、どこかで この月を見いているのだろうか。           

                                                          

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