サクラ兄弟
ここは神秘と美の国アガルダ・・の首都ヤオ。 長屋が立ち並び、様々な商店が立ち並ぶ・・街を行く人々が着物を奇抜にアレンジし、色とりどりの髪型に染めている。その中で威張りくさって歩く侍の一団があった。腰に刀を差し、鎧を装備している。平民の人々は避けて通り目を合わせないようにしている。 ここでは侍は貴族としてみなされ、かなりの権力を持っていた。侍はここでは完全世襲制で平民の人々が侍を夢見ても、なるのは不可能だった。だが誰も異議を唱える者はおらず・・それが自然のことだ、そう思われていた。
こじんまりとした、侍屋敷・・そこの庭で槍の稽古に汗を流す一人の若侍がいた。「ふう・・今朝の槍の稽古はここまででござる。・・」
長くて青い髪を一つに束ねた、色黒の精悍な顔立ち・・はしばみ色の瞳を持ち・・濃い真一文字の眉 身長は190cm 立派な体躯の持ち主である この若侍の名前はフウマ・サクラ・・フブキの言っていた凄腕の剣客・・いや 侍だ。・・フウマは剣客ではなくアガルダでは有名な大名に仕える侍だ・・。
桜が咲く庭の、すぐ側の座敷に一人の男が 寝転がっている。 その男にフウマが話しかける。・・・ 「のう・・ツキハ・・お主も 気ままな剣客商売などやめて、誰かに仕えたらどうでござるか」
「わが双子の弟ながら、拙者とは全然似てないでござるな・・ツキハ・・」 ハハハッとフウマが豪快に笑う。・・
「ところで・・拙者達の妹のフブキは、どうしているでござろうか・・3年前国を出たきり便りも よこさぬ」 フウマが寂しそうに言う。・・
「あいつは・・この国・・封建的なアガルダが嫌いだった・・国を出て自由な風に なりたかったのさ」 キザな口調でツキハと言われた男が言った。・・
庭に咲いていた桜が舞い散る・・強い風が吹いた。・・ 「女だてらに侍になるなど、変わり者だったでござるからな・・フブキは・ 拙者達の兄妹の中では、唯一西方の血を引いているでござるからな・・この国が水に合わんのでござろう」 「ふうーそうだな・・西方の血か・・」 ツキハが座敷から見える青空を見つめていた・・。どこか遠い瞳だ。
その西方の空から・・ミロクが飛び立った。
昴・フブキ・デトレフ・ランスロッテ・リカードを乗せて。・・ 風が強く吹く晴天の日だった。・・
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