侍貴公子?
フィオナとセシリーの二人はどこへ・・僕たちは途方に暮れている。・・書き置きも無く二人は消えてしまった。・・豪快で頼りになるフィオナ、可愛らしく素直なセシリー・・二人がいなくなり・・とても寂しかった。・・
「・・これから、どうしようか」
デトレフの部屋に集まった一同・・最初に口を開いたのはアステルだった。・・ 「アルフィンは?白い魔女が言ってたあの方てっ、もしかして皇帝ミカエルドてっ奴じゃあ・・僕はそう思うけど・・」 「少年よ・・スバルと言ったな・・アルフィンに行くのは、余りにも危険だ アルフィンのあるズイルバーン帝国は独裁国家だ・・そう やすやす と行くことはできない・・怪しい者は監視されている・・皇帝ミカエルドを暗殺するのは・・我々では・・不可能だ」 「じゃあ・・どうすれば・・暗殺のプロみたいな人がいればなあ・・」 「デトレフ殿・・みんな・・ せっしゃ の知り合いに、というか兄妹に・・凄腕の剣客がいるでござる・・一人の名はツキハ、もう一人はフウマと言うでごじゃる・・二人は双子で せっしゃの腹違いの兄達でごじゃる」 「その二人はどこにいるのよ?フブキ」 「せっしゃの生まれた国アガルダでござるよ・・」
ここは美と神秘の国アガルダ・・ 闇色の空に紫色の雲、怪しい三日月がアガルダの首都ヤオを見下ろしている。 アガルダはラダ・ナーク大陸の東方に位置する・・侍が貴族として平民を支配する国だ。・・ここでは侍が絶体的な 権力を持っていた。・・
3人の侍らしき男たちが平民の娘に何か因縁をつけている。・・ 「女・・お前・俺達に付き合えないと言うのか・・侍様の言うを聞けない奴は切り捨てられても文句は言えまい・・」侍とは名ばかりの ただの ごろつき である。
娘は恐怖で震えている・・ここでは侍に平民が逆らうことはできない。
「はははっ切り捨て御免!」一人の侍が、娘に刀を振りかざした その時!
バシュ!ビシュ!バシュ!・・・娘は目を見張った・・。 ゴロツキの侍達が一瞬の内に首を切られ死んでいる。・・あたりは血まみれになった。・・
そこに一人の男が立っていた。・・薔薇の花を口に食わえ、貴公子が着るような白いシャツに 大袖(肩から上腕部を防御する物)を身につけている・・黒い 細身のタイツを履いていて・・。かなりキザな いでたち・・
だが・・男は細身・・180cmくらいの長身で似合わなくはなかった 年は 25歳くらい・漆黒の髪・・瞳は切れ長で黒く涼し気だ・・細面で女性の様に美しい顔立ちをしていた。・・ 娘が礼を言おうとすると・・「娘よ・・俺の気が変わらぬうちに去れ・・」 男がクールに言い放った。 娘が逃げ出したその時だ・・。
空からパチパチ拍手する音が聞こえ・・白い女が姿を現した。・・
「なかなかやるじゃない・・見てたわよ・あんた強いし・・それに美しいわ・・あたしの下僕にならない?」
「お断りだ・・妙な妖術を使う下品な女狐め」
「何ですってえ・・あんた・・このセレーネ・ヴァイス様を女狐しかも下品なんて」
何と白い女は・・あのセレーネだった・・この女、まだ懲りてないらしい。
今夜のセレーネは、かなり艶かしい紫色のドレスを着ていた。・・
「女・・俺の前から消えろ・・でなければ切るぞ」 「わかったわよ・・でも・・あんた・・覚えておきなさいよ・・ふん」 白い魔女が消えると・・
辺りに静寂が戻り・・静かになった。・・
孤独な月の光りが男の背中を照らしていた。・・
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