捨てられた・・・
フィオナが怒りに震え、リカードの服を掴みながら怒鳴る。 「どうして!仕方がなかったというのか!どうしてセシリーを捨てたんだ! お前の せいでセシリーは・・セシリーは、その後どうなったと思う?奴隷として売られそうになったんだぞ!・・お前が・・だらしがないから・・お前なんか父親じゃない!」
「ど・奴隷として売られた?ダンゲラという男は信頼できると思って・・知らない・・知らなかったんだ・・だが私は今までセシリーを探していたんだ」 「いい訳なんて、どうでもいい!お前はセシリーを捨てたんだ!もう 一発殴らせろ!」
フィオナがもう一度リカードを殴ろうとした、その時だ。
「やめるでござる! もうやめるでござるよ! フィオナ殿- 武士の情けと言う言葉が、せっしゃの国にあるでござるよ・・リカード殿を許してやるでござる・・」 フブキが身を呈して、リカードを かばった。 「お前には関係ない! これは アタシとコイツの問題だ・・」 「関係なくないでござるよ!フィオナ殿・・」
[せっしゃ も実は・・母親に捨てられたでござる・・母親の顔も知らないでござる・・でも、なんとか・・ここまで生きてきたでござるよ」 フブキがフルフル震えながら言った・・。 「憎んだこともあったでござるよ、でも自分を せっしゃを産んでくれた・・生まれてきて、悪い事ばかりでは なかったでござるよ・・」
「素晴らしい・・仲間たちに出会えたでござる、晴れる時もあれば曇る時もある・・悪いことばかりではない・・良いことばかりもないけれど、でもでも
セシリーちゃんもフィオナ殿に出会えたでござるよ・・悪いことばかりではないで・・ござるよ・・」 デトレフが無言でフブキの肩を抱いた・・ あったかい・・フブキはそう感じた・・。 アステルも僕もランスロッテも無言で うなずいく。
「アタシが・・あたし一人が悪者って事か・・みんなして、こんな男を かばうのか・・ふん! セシリーのことを本当に考えているのはアタシだけだ・・」 そう言うとフィオナは去っていった。
僕達は どうすればいいのか分からず立ち尽くした。
リカードが重い口を開いた。・・ 「彼女の言うことも・もっともな話だ・・私は いくら殴られても仕方がない・・セシリーに・・それはそれは酷い事をしたのだから・・」 「リカードさん・・フィオナはセシリーの育ての親なのよ・・ 自分の子どもみたいに愛してるし可愛がってる・・セシリーちゃんは幸せよ・・あんなに想って 守ってくれる人は・・そういないわ」
「そうか・・」リカードが寂しそうに言った。・・ 「もう「暁の家」に帰りましょうよ・・これからの事は、そこで話しましょ」 一同は うなずいた。
暁の家に帰るとデトレフの母親が・・フィオナはセシリーを連れて出ていったと言う・・。
そういえばフィオナも セシリーの姿も どこにもなかった。・・ フィオナの荷物もセシリーの荷物も消えていた。・・二人はどこへ・・
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