セシリー
男はセシリーを見た。今日のセシリーは珍しく三つ編みに赤いリボン、可愛らしいピンクのワンピースを着ている。 「・・セシリー?」男がそう言うとセシリーを見つめる。 その瞳は哀しく、愛おしい者を見つめる瞳・・。
「おじさんは誰なの?・・・」 その瞳に見つめられセシリーの警戒心が解けた。 男がセシリーの すぐ近くに来た、そして手を伸ばそうとした。・・ その時アステルが叫んだ。 「セシリーちゃん、逃げて!そいつは危険だわ」 だがセシリーは逃げようとしない・・男の瞳をじっと見つめている。・・ その時だ「あそこだぞーあそこにいるぞー」 この 騒ぎを聞きつけた、街の大人達が男を取り囲んだ。・・ 「こいつは、とんでもない奴だ・・変な魔法を使うらしいぞ!」 「なんでも子供達を襲おうとしたらしいぞ!危険な奴だ」 「牢屋にぶち込め・・!」 大人たちが男を連行しようとした、その時・・・。 「違うの! この おじさんは悪い人じゃないよ! 私にはわかるの!」 だがセシリーの言うことなど、お構いなしに街の人達は男を取り囲み、どこかへ連れていった。・・ 「セシリーちゃん! 大丈夫!」 僕とアステルは、すぐさま セシリーに駆け寄った。・・ 「・・アステルお姉ちゃん・・スバルお兄ちゃん・・あのおじさんを助けてあの人は・・悪い人じゃないよ・・」 そんな事をいわれても・・あいつは アステルを殺そうとした。・・不思議な魔術を使う奴はロクなモノじゃない。白い魔女といい・・まあランスロッテは別として。・・ 「でも・・セシリー・・僕たちはアイツに いきなり 襲撃されたんだぞ。大やけどを負うところだった・・危険な奴だ」 僕は少し強い口調でセシリーを たしなめた。 その言葉を聞きセシリーが涙ぐんだ。・・ 「ちょっと・・スバル・・強く言いすぎよ こんな小さい子に・・私も・あの男が悪い人間に見えなかった。・・何か訳ありな感じよね・・」 えーッ・・自分を傷つけようとした人間に!・・アステルは どこまで心が広いんだろう・・そういえば最初フブキもアステルの命を狙いに来たな・・でも確か120回もアステルに負けていて・・・まあフブキは ともかく、あいつは危険だ・・それに美形の男は・・なんか信用できない・・カストゥールといい・・ 僕が そんな事を考えていると・・「暁の家に帰って、この事みんなに話しましょう・・何かいい案が見つかるかも知れないわ・・」 アステルが泣きじゃくるセシリーの手を優しく握り・・ゆっくり歩き出した。・・
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