ミロクの掟
ヴィルヘルムの爪がフィオナに襲いかかった! その時だ ミロクが自分の体を盾にして フィオナを守った・・ 「アステル!」フィオナが叫んだ ヴィルヘルムは 巨大なミロクに体当たりされ・・ふっ飛んだ・・ ミロクは体に傷こそ つかなかったものの・かなりのダメージを受けていた・・ 「・・こいつ・・食いちぎってやる!」アステルが心の中で叫んだ 吹き飛ばされたヴィルヘルムが また 立ち上がり・今度はミロクに襲いかかってきた 怒りに まかせて ミロクはヴィルヘルムに鋭い牙を向けた・・ しかし・・それは できない・・ミロクは聖なる獣・・殺戮兵器なんかじゃない・・・ミロクの使命は魔に堕ちた人々の魂を救うこと・・ このヴィルヘルムと言う狼男も元は人間だ・・その命を無理やり殺して蹂躙してはならない・・それはミロクに課せられた掟だった・・ ミロクはヴィルヘルムの力に任せた攻撃に耐えた ミロクの苦しみはアステルの苦しみでもある 「グッ」アステル・・ミロクが口から血を吐いた・・ 「このままでは・・アステル・・ミロク死んじまう」フィオナが うめく 様に言い・ヴィルヘルムの首を狙い攻撃を仕掛けるもヴィルヘルムの体は かなり 頑丈に できているらしい フィオナの金色の剣の攻撃にも びくとも しないのだ・・ヴィルヘルムは身体は人間の成人の男と同じくらいなものの・・ かなりの力の強さ・・体は まるで 鋼のようだ・・ アステルは昴を見た あいからわず 白き魔女と抱擁している 「・・スバルのバカ・・バカバカバカ! あんな女に誘惑されて・・」 昴は夢を見ていた・・詩音の・夢を・・起きながら夢を見ていて・・ アステル達の危機など まったく気がつかなかった 昴とミロク・・アステルの世界が溶け合わないと・・ミロクは本来の力・・地獄に落ちた魂を救済する事・・が できない・・ 「スバル・・お願い・・正気に戻って!」アステルの心の叫びは昴には届かない・・・・ もうすぐ夜が明けようとしていた・・牢獄の様な拷問部屋・・ 二人の男女が囚えられていた・・ 「フブキさ・・ん・・大丈夫かい」 「デトレフ殿・・せっしゃ は 大丈夫でござる・・デトレフ殿は?」
「僕も大丈夫だ・・だいぶ・・体力消耗しているけど」 デトレフが うめくように言った・・ 二人は かなり 衰弱していた・・ 白い魔女に捕えられてから・・水分も食事も とっていない そして神経が おかしくなりそうな拷問の数々・・ 何とか二人は耐え・・拷問が 途切れ・安堵の時を過ごしていた・・ デトレフが何か言おうとした・・その時! グーッ 不意にフブキのお腹が鳴った・・ 「はははッ・・君は なかなかの大物だな・・こんな時に お腹が空いているなんて」 「デトレフ殿は意地悪でござる・・武士とて・・腹は減るでごじゃる」 フブキが 顔を赤らめ・・デトレフに抗議する 「まあ・・緊張の糸が ほどけたよ ・・暇だから僕の過去を話そう・・・」 デトレフが静かに語り始めた・・
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