裏切り
白い魔女が昴に手を差し伸べた・・昴は虚ろな目をして・・その手を握り締めた 白い魔女がニヤリと笑う 「スバル・・」アステルが悲しげに つぶやく
昴は白い魔女の誘惑の術に かかってしまったようだ・・いや それ以上の何かの大きな力が働いたに違いない 「詩音」・・昴が囁くように言った・・ アステルは呆然としていた・・アステルは魔女の誘惑の術には かかっていなかった・・たまに魔女の誘惑に 魅了されない者もいた(デトレフもフブキも魅了されなかった・・)アステルは内心傷ついていた・・昴とは強い絆・・一つに結ばれたはずだった・・ しかし・・昴は裏切った・・ 「ふふふ・・いらっしゃい・・私の可愛いスバル・・ アナタは私のモノよ」 白い魔女セレーネと昴が恋人同士の様に抱き合い始めた・・ 「昴・・私の元に戻ってきて・・お願いよ・・」 しかし・・昴は答えない・・アステル達に背を向け・・相変わらず・セレーネと熱い抱擁・・・昴は人形の様にセレーネの言うことを聞いていた・・ その時・・フィオナが 怒鳴った・・「魔女め・・スバルを離しやがれ!さもないと・・」 「さもないと・・なんですって?私達の仲を やっかんでいるのね・・・ あんた達のお相手はコイツよ・・ヴィルヘルム出てきなさい・・」 ヴィルヘルムと呼ばれた者が出てきた・フブキから 取り上げた2本の刀 を腰にかけ・・デトレフから取り上げた黒い棺桶・・銃を抱えている ヴィルヘルム・・セレーネに 不思議な飲みもの を飲まされた美貌の青年だ 美しかった面影はなく・・銀色の毛に覆われ鋭い牙ツメを持つ狼男に なっていた・・ヒースランドで 昔からいい伝えられる・ヴァラヴォルフと言う怪物に 成り下がっていたのだ・・ アステルはミロクに変身した・・黄金の閃光が辺りを包んだ・・ ミロクになったアステルが昴の心に語りかけた・・「スバル・・私のもとに帰ってきて・・お願い・・そいつは白い魔女よ・・君の 心の中にいる大切な人ではないわ・・」 しかし・・昴はアステルの言葉に答えない・・相変わらず・・魔女と抱擁を交じ合わせ・・詩音・・詩音・・と うわ言のように・・つぶやいている・・ ヴィルヘルムが持っていた 荷物を全て 放り出し・・ フィオナに襲いかかる・・ 鋭い爪でフィオナを ひっかこうとした・・しかし フィオナは何とか・・その攻撃を かわし 金色の剣でヴィルヘルムの腕を切りつけた・・ ヴィルヘルムの腕に剣がヒットした・・はず・・だった・・ だが・・ヴィルヘルムの腕は びくともしない・・ヴィルヘルムが 鋭い牙の口元をニヤリと開け・・逆にすごい力で剣を跳ね返した・・ 剣を跳ね返され・・その勢いでフィオナは床に転んだ・・次の瞬間・・ヴィルヘルムの爪がフィオナに襲いかかる!
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