最初から・・
触手の拷問は何とか収まった・・しかし今度は どんな拷問が待っているのだろう・・二人は恐怖に震えていた その時 フブキが泣きながら言った 「本当は せっしゃ は侍将軍なんかじゃないでごじゃる!嘘をついたでごじゃるよ・・デトレフ殿に・・ついて いきたくて・・だから バチが あたったでっござるよ・・」デトレフは無言だったが・・やがて口を開いた 「知ってたよ」 「 えっ 」
「最初から・・君が もし侍将軍だったら・・僕は・世紀の大発明家に なっちゃうよ」 フブキが下を向いた・・自己嫌悪で心が いっぱい だった・・自分が もっと 強かったら・・デトレフを守れるのに・・ 「僕は君 について来て ほしかったから・・嘘だと知りつつも・・べ・・別 に これは恋愛感情じゃないぞ・・僕は怖っかったから・・一人は ぼくは ただのプライドの高いだけの弱虫なんだ・・君と同じで・・」 ノイスヴァインスタイン城に 凄い勢いで向かっている者がいた・・ 金色の翼を ひるがえし 金色の体が泳ぐように夜空を翔る 聖獣ミロクだった・・昴とフィオナが 振り落とされぬよう しがみついている・・セシリーをデトレフの両親に預け・・ミロク・・アステルと昴とフィオナの3人は デトレフとフブキの救出に向かっていた・・ 僕はアステルに心の中で語りかける・・ 「二人は無事かな?」 「とりあえずは・・だいじょぶ みたいよ・・二人で何か話してるわ・・早くしなくちゃ・・二人に危機が迫ってる!」 「え?」 「白い魔女が何か・また あの二人に新しい拷問を開始したみたい」 あははははは・・・ 薄暗い拷問部屋に なぜか・・デトレフとフブキの陽気な笑い声が響く・・・ 「苦しいよ・・助けてくれ ぐはははは」 「せっしゃも苦しいでごじゃるよー・・あはっは・・誰か・・止めて欲しいでごじゃるー あははは げほっ・・はははは」 何か楽しい見世物を見せられている と言うのではなく・・無理やり笑わせられている・・ 二人は本当に苦しそうだ ふたりの笑い声が拷問部屋に響く その様子を白い魔女・・セレーネが楽しそうに見ていた・・鏡に 映る笑い出す二人の 姿は それは それは奇妙だ・・魔女が金色の杖を振るった・・ さらに 二人の笑い声が苦しそうになり・・大きくなった・・ 「ふふふッ・・あんたたちが・・妙に辛気臭い話をしているから・あたしが・・笑わせてやッたのよ」・・拷問と言うより悪戯の近い・・デトレフとフブキの 笑い声は・・虚しく・・夜の闇を切りさいていた・・
読んでいただきありがとうございます・