デトレフとフブキ
「白い魔女狩り?もしや・・白い魔女に復讐する気でござるか?」 「ああ・・そのつもりだ・・やられたらやり返す・・ハノーファクライフ家の家訓だ・・それに白い魔女に誘拐された人たちも救い出さねば」 「一人でムチャでござる・・これは・・何か嫌な予感がするでござる・・罠かも知れないでござるよ・・」フブキが懸命にデトレフを引き止まる・・だが・・ デトレフは止まらない・・「デトレフ殿」フブキが必死に懇願するも・・頑としてデトレフは聞き入れない 「 アステルやスバル・・フィオナ殿に話すでござる・・特にフィオナ殿は・・凄腕の剣士でござる・・きっと力に なってくれるでござる・・」 「君たちを・・巻き込めない・・これは男のプライドを かけた 戦いだ」 「せっしゃ達にも関係あるでこざる・・せっしゃ達は白い虚無と言うものを・・」 「ええい! うるさーい」 デトレフが怒鳴った・・ デトレフの群青色の瞳とフブキの真紅の瞳が ぶつかり合う・・ そして フブキが もっと 大きい声で怒鳴った・・ 「この たわけ者がぁー」 デトレフの家の廊下中に響き渡った・・ 「はぁっ?・・たわけ者てっどーゆー意味」いつものデトレフに戻る 「せっしゃ の国の言葉で馬鹿者と言う意味でござる」 「僕は馬鹿者じゃないよ・・秘策がある・・この・・棺桶さ それに僕は銃の名手なんだぜ」 デトレフは細長い茶色の銃を見せた・・マスケット銃だ 「・・どうしても・・行くでござるか でもデトレフ殿だけでは行かせないでござる・・せっしゃ も行く」 そう言うと 日本の刀の うち の一刀のサヤを引き抜いてみせた・・キラリと 光る鋭い刀・・ デトレフが それに 見入る・・ 「せっしゃ は こーみえて 強いでござる・・女だてらに 国では侍将軍だったでござる・・」 「えっ君がぁ」フブキは嘘をついた・・侍将軍なんて デタラメの事だった・・でも・・この青年を一人では行かせたくなかった・・嘘を ついてまでも この青年に特別な感情をフブキは抱いていた・・・ もう日が沈み夕暮れ時になっていた・・ 不吉な色の月・・夜は・・長く深い・・どんな惨劇が 起こっても・・不思議ではない・・ 不穏な狼の鳴き声・・もう二人の姿・・デトレフとフブキの姿は もう そこに なかった・・・
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