学園のアイドル
女の子は怖いです
白い少女が微笑んでいる。大きな金色の瞳、絹の様なしなやかな髪、 白いフリルの付いたワンピースまるで天使のようだ。
この美しいひだまりの中で、全てを忘れたい。 心地よい空気が流れ、良い音楽が聞こえてくる。 ここは天国? 僕は死んだのか。
「いいえ……君は生きてるよ……」
「えっ」
いきなり現実の世界に引き戻された
「大丈夫? 死んだのかってっずっと、うわ言みたいに」
「そうか」
僕はポリポリ頭を掻いた。
「どうしたの・ずっと高校に来ないじゃないの・みんな心配してるよ……八木君のお母さんが部屋に入れてくれたのよ。そしたら八木君ニヤニヤしながらべッドに寝てて」
栗色の艷やかなボブ、 ぱっちりした栗色の瞳、健康的な肌色、正統派の美人とは言えない顔立ちだがコケティシュで愛らしい小柄な少女だ
彼女は僕のクラスメートで 同じ陸上部に所属していた。
学園のアイドル的な存在で男女共に好かれていた。どこかミステリアスな雰囲気のする詩音とは違う魅力を放っていた。
「あの騒ぎの後八木君が高校のこないからあたし……心配してたんだよ」
舞花の口調に媚びが混じっている。
騒ぎだって? あれは事件だ……詩音は死んだんだ。 僕の目の前で 思わず叫びそうになった。
そんな風にしか思っていなのか人一人死んだのに……僕が言葉を詰まらせていると 舞花が言う。
「あたしね・前から八木君の事好きで……丘江さんが あんな事になって気の毒だけど……まあ。チャンスきたかなあってっ・噂だけど みんな言ってるよ丘江さんが男の人達誘っ たんじゃないかって・ふふふ」
舞香が小悪魔のような ほほ笑みを浮かべた。
「あたし達も楽しんじゃお」
舞花がスカートを たくしあげた……白いパンティが あらわになる。
「やめろ!!」
僕に舞花が しがみついてきた。 僕は舞花を突き飛ばすと、急いで部屋を出た。
部屋の中で舞花の声がする。
「何よ・臆病な奴ね・あんたが もっと 強かったら丘江さんも死ななっかったんじゃないの」
僕が……もっと強かったなら。・・・
いたたまれず僕は家を飛び出した。どこまで歩いただろう。
僕の足はあの廃ホテルに むかっていた。
あの事件以来ホテルは立ち入り禁止になっていた。
僕は大声で泣きだした。 僕のせいなんだ。あの日ここに来なければ。あの日早くあの男達から逃げ出していたら……不意に僕は空をみあげた白い雪が降りてきた。この惨劇がおこった廃墟を優しく包むかのように、 そして あまりにも無力な僕を慰めるかのように。
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