玩具
うおおおおー うおおおおおおー
ミカエルドの部屋の外から、すさまじい雄叫びが聞こえてくる。まるで血に飢えた野獣の様だ。
ドカドカと、静寂を切り裂く足音。そして、ドアがけ破られた。
戦斧を持ち、西洋甲冑 が 灰色に輝いている。に身を包んだ、騎士達の集団。二十人くらいは、いるだろう。
騎士達は皆、異様に背が高く、巨大な戦斧を 、装備していた。
騎士の一人が、室内に居た、リカードに怒鳴った。
「貴様はリカードだな 貴様の事は知ってるぞ ミカエルド様を暗殺しようとした反逆者」
「ダリル・メイちゃんはどこー?ワイの勘違いかー くそっカワイ子ちゃんなんて、一人もいないやないかー」
赤いネズミ、デウス王が残念そうに、ぼやいた。
「デウス王様 そんな事 言ってる場合ですか 我々 敵に囲まれてますよ。まずいです」
水色のネズミ、エステバンが、戦々恐々として、震える。
その時だ。セシリーが、威張った口調で、アルフィンガード達、闇の騎士団に命令した。
「こいつらを一人残らず 始末なさい さあ早く」
だが、アルフィンガードの一人が、それをせせら笑った。
「なぜ 笑うの あなた達は王家を護る騎士団でしょう 私の言う事が聞けないの?」
憤慨したようにセシリーが怒鳴った。
「私達は 王家を護る為だけに 結成された騎士団だ 王家以外の者の事など知った事ではない あなたは部外者 よって我々はあなたの命令は聞かない」
「な・・・なんですって 私はアンネリース、皇后アンネリースよ」
「誰もあなたを皇后と思う者はいない あなたの下品な立ち振る舞い 所作 あなたはただのミカエルド様の玩具のひとつでしかない。」
その時、セシリーは、ヒステリ―をおこした。アルフィンガードの一人の言葉に余程、傷ついたらしい。
私はプリンセスよ、私はプリンセス。
そう呪文を唱える様に言うと、側にあった、セルロイドでできた人形をその、アルフィンガードに投げつけた。
だが、硬い鎧に包まれた、アルフィンガードはビクともしない。
セシリーは泣き崩れた。余りにも自分が惨めだからだ。プライドは、ズタボロだった。
あたしは自分の事をプリンセスだと、今まで、信じていた。なのに、なのに。
このセルロイド人形達と同じだった。ミカエルドにとって。・・・・・・・・
セシリーの虚しい笑い声が響く、あはははは、アハハ。あははははははははははは
部屋中に響いた。
「まあ 玩具の事は放っておいて 私達は貴様達を生かして帰る事はできない。 ミカエルド様の部屋に忍び込んだ 部外者は罰を受けなければならない」
「そして私達のバトルアックスは血に飢えている」
アルフィンガードの一人がそう、不気味に宣戦布告した。
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