夢
「……デトレフさん……僕……質問があるんですけど……」とても 大きくて……立派な飛行船だ……でも……「これ 空を飛べるんですか?」「うーん今の所……スポンサーがいなくて……まあ……お金をかけて 造ったのはいいのだけれども……」デトレフが僕の質問に口を濁した……「でも……必ず……大空を飛んでみせる このモーウント・シュテルン号で 人を何人か乗せることができるし……でも フーッ夢は夢で終わるのかなあ」デトレフがため息混じりに言った「そんなこと ナイでごジャル……夢は夢で終わらせないのが男でごじゃろう」
「意外ねフブキ・あんたが人を慰めるなんて」アステルが驚いたように言う 「そうだ そうだ 女もだ 人は 夢を諦めちゃならない……アタシもそう想うぞ いいことーユーじゃん」フィオナがフブキの肩を優しく叩いた……和気あいあいとした・楽しい時間を過ごした後 飛行船の見物人達が増えてきたので僕達はデトレフに別れを告げると ヨルクガンドの街を散策した……月並みだが絵本に出てきそうな町並み 現実の世界のヨーロッパの田舎の風景に 似ていた 石畳の上に寝そべる猫 可愛らしいカラフルな建物 街を行き交う人々も どこかお洒落で洗練されている ここは ラダ・ナーク大陸で言うと西洋になるのか……さっき会ったデトレフと言う青年もヨーロッパの明るい若者という感じだ……まあ僕も若者だけど……そうこうしている うちに 夕方に なった そろそろ今夜泊まる所を探さなければならない……砂漠のジュエルモンスターを たくさん倒したおかげで……そのジュエルをラシークでお金に換えたおかげでガルーダーが たんまりあった……ガルーダーはこのラダ・ナークの世界の共通の通貨で・ラダ・ナークのどこの国でも・使えた……という訳で お金は まあ あるんで……どうせなら ちょっといい宿に泊まろうという事になった そこは小さなお城の様な洒落た建物だった……かなり古そうだが……「ここは昔ヨルクガンドの貴族が住んでいたお城だったんだって……今は改装してホテルにしたみたい」アステルがホテルの前の看板の文字を読みながら言った…… 「よし! ここに決めた・ここに泊まろう」僕達はホテルの ドアを開け中へ……すると見た事のある男が宿の受付をしていた デトレフだった……デトレフは驚いた感じで群青色の目を まんまるく した 「やあ君たち……また会ったね……ホテル 暁の家 にようこそ」暁の家というのはこのホテルの名前らしい……ホテルのエントランスには絵画やギリシャ彫刻の様な女の像が飾って あった その時……僕は何者かの視線に気づいた・振り向いて見ると……人間の少女がそこにいた……しかし全然動かない……立派な長椅子に座っていた……年は12歳くらい……可愛らしい小さな黒い帽子を被っている……ラズベリー色の髪をピンク色のリボンでツインテールに縛り……やや 崩れたタテロールが腰の あたり まで伸びている……ゴスロリ風の白いドレスを身に付けている……瞳の色は深い青で 少しツリ目がちだ……幼い少女の割には顔が完璧に整っており 卵形の白い小さい顔……は無表情だ 俗に言う 美少女だ しかし奇妙なのは この子の体がフランス人形程の大きさしかないことだ……驚く程小さい……デトレフが この女の子に見とれている僕に気づくと言った……「その子は人形だよ」その時女の子が僕に微笑んだ気がした……これは夢か……幻か?
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