なぜ?
紅蓮の炎が、エティエンヌ.ルドンを包む。しかし、この怪人は少しの間ひるんだだけで、火をかき消してしまう。エティエンヌ.ルドンが炎に戸惑いを見せたすきに、フィオナが捨て身で、その足に蹴りを入れた。
「くっなかなかやるじゃないか お前の足技、見事だ」
エティエンヌ.ルドンがそう言うと、不敵にやりと笑う。すると、フィオナを殴りつけた。
フィオナは、ふっ飛ばされて、地面にたたきつけられた。この男は、魔法を使える割に、すごぶる怪力らしい。その衝撃は、あまりに凄まじく、フィオナは、気を失ったようだ。
ぐったりしているフィオナを、急いで、セシエルがかけよった。それを尻目に、怪人、一つ目のサイキュロプスに似た大男は、リカードを、光る目で見つめていた。そして、リカードを担ぐと森の奥へ逃げ出してしまう。
はっ?なぜリカードを。セシエルは意味がわからず。…
しかし、この大男。長身のリカードを軽々持ち上げるなど、本当にかなりの怪力らしい。
暗闇の森の真ん中で、セシエル、セレーネ、フィオナ、女3人が取り残された。セシエルは、呆然としていたが、こうしちゃいられないと、セシエルは、セレーネとフィオナに、治癒の魔法を施した。治癒の魔法。セシエルは、二人の身体に触れると、静かに、呪文を詠唱した。セシエルの手から、光が漏れ出す。セレーネからは、稲妻の攻撃で受けた稲妻の魔法が持つ、毒素や呪いを、取り除き、フィオナには身体を蘇生させる、魔法を施す。
次第に二人は、目を覚ました。もう、何時間たつだろう。あれから、いったい。
晴れ晴れとした、青空は、もう、夕焼け空に。赤く染まっていた。
セレーネが、口を開いた。【なんで、こんなイイ女が三人もいるのに、男のリカードが連れ去られたのよ。なんでよ。どうして。】
話のポイントは、そこではない、が。完全に、エティエンヌと言う男に、完全敗北した事より、
セレーネは、女のプライド?を傷つけられた?事に憤りを感じているようだ。それにしても、リカードを連れさったエティエンヌ.ルドンはどこへ。
フィオナも、またプライドを傷つけられていた。戦士としてのプライドを。あたしは、無様に負けた。あいつ。あたしを見て笑ってた。あたしの価値は、強さだけなのに。強さだけが、あたしの取り柄なのに。あたしは、負けたのだ。なぜ。それは、あたしが弱いから。強くないからだ。あたし。あたしは。どうしようもない気持ちになった。また、あたしは、戦えるだろうか。
暗闇の森は、静かに夜をむかえた。そのうちに、森に住む、無数の野犬達が人間のにおいを嗅ぎつけ、襲ってくるかもしれない。早く森から出なければ。そしてリカードを奴から、まず取り戻さなければ。
こんな敗北を味わうとは、誰もが、予想だにしていないことだった。
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