フィオナの回想
あたしの名前は、フィオナ.ロックウェル。砂漠の国、ラシークで生まれたんだ。そして、とりわけ、ラシークの中でも貧しい地区、ズボラと言う街のスラムで生まれた。
あたしの父親は、酒場の用心棒をしていた。腕っぷしが強くて傍目からは、頼りになる男として、見られていた。父は、背が高く2メートル以上あり、黒髪で肌が浅黒く、眉が濃く、堀がひときわ深い男前で、若い時は、女に相当、もてたらしい。
酒場のキレイどころ達。踊り子、芝居女優、娼婦たち。髪も肌も、様々な美女達を、相当泣かせたらしい。今日は、黒髪のエキゾチックな美人、昨日は、ブロンドで青い目の、かわいこちゃん。そして、明日の予定は、褐色の肌のスタイル抜群の、セクシーな娘と。夜長夜長、肉体のゲームを楽しんでいた。
そして、ギャンブル。ラシークの名物でもある、円形闘技場での、賭けのゲーム。に、のめりこんでいた。
あたしは、母親は、知らない。顔も知らない。あたしの母親は、キレイどころ達の一人だったと言う。その女は、ある日赤ん坊のあたしを父親に託して、逃げてしまった、らしい。
赤ん坊のあたしを、父親は、持て余した。そして、あたしは、父親の母親。つまりは、あたしの祖母の家に預けられた。家と言うよりも、薄汚い小屋だと言うのが、正しい。
あたしの祖母は、とんでもない、不良ばばあ。で、酒は浴びるほど飲むは、ギャンブル依存症でもあった。そして、とんでもなく、口が悪く意地悪だった。 ⦅ あたしに、ミルクの代わりに酒を飲ませようとして、近所の人に止められたらしい。⦆
でも、祖母はあたしにフィオナと言う、名前を授けて、くれたけども。
父親はあたしを、祖母に預けると、それから知らんぷりだった。⦅ちなみにあたしの父親の名前は、フィンという。⦆
祖母に養育費として、用心棒で稼いだ金を渡していたのだ。フィンはあたしを愛していたのか、わからない。あたしも、誰にも、わからない。あたしには、どうでもいい事だが。あたしの父親、フィン,ロックウェルとあたしが、会ったのは、あたしが4歳位の時で、それから、まったく会うことは、なかった。
意地悪ばばあとは、幼い頃から、ケンカばかりしてたな。使い古した、ぼろ雑巾のような臭いがする、小さな小屋で。あたしは、子どもの頃から、力が強かったし、口も悪かった。いつも、とっくみあいの喧嘩になった。あたしは、誰にも負けたくない。それだけ。ばばあに顔に唾を吐かれようが、蹴飛ばされようが、あたしは、やり返した。
そんなあたしに、転機が訪れる。あたし、フィオナ、ロックウェルが、6歳の時だった。
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