雲行きが怪しい。
二人が同時に大声を出した。フウマとエステバン。唖然とした表情で、お互いの顔を見つめ合う。
「あんな 身分の低い者に、我が国王陛下デウス様が、直接話しかけられた。何て事だ。ああああああああ!」
エステバンが頭を抱えて嘆くと、今度はフウマが、「身分の低い者?それは、おぬし、失礼でござるぞ!。フィオナ殿は、名の知れた剣闘士。だが、しかし。フィオナ殿が、乙女の様に顔を赤らめておるでござる。これは、どーゆー事でござるか。」
興奮した様に言った。それを聞いたフィオナが、「おい、エステバンとか言う奴、失礼だぞ。それと。フウマ、あたしだって女だぞ!。それも、あたしに失礼だ。」
それを聞き、 デウスがクスッと微笑んだ。それはそれは、女性なら誰でも、 蕩けてしまいそうな 微笑だった。
そして デウスが、手から、マントを出して翻すと、 再び鳩の姿になった。
鳩になった、 デウスが、エステバンの肩に止まると。
「この方達を、王宮に案内しなさい。着替えと会食の準備を。それと、エステバン、ご苦労であった。」
「ははあっデウス様。」エステバンが長々と鳩に敬礼をする。
鳩は、どこからともなく、去って行った。
鳩が飛び去った 空を、唖然として昴達、一行が見上げていた。
空の雲行きが、徐々に怪しくなって来た。 見る見るうちに空が、暗くなって行く。 …
エステバンは、デウスの命令通りに、昴達を王宮の中に入れて、案内した、巨大な王宮の浴場。純金で作られた、 巨大な浴槽。 ライオンの形の蛇口からは、清潔な温かい、お湯が流れ…。薄衣の美女達が、美しいハープの音色を、響かせている。そして、良い香りのする、薔薇の花びらが浴槽に浮かんでいた。
エステバンが昴達に入浴を薦めた。男性は、男性だけ、女性は、女性だけで入る事にした。[ちなみにセレーネは、昴と一緒に入りたがった。]
そして、昴達男性達には、ワイン色のローブ。アステル達女性達には、白いドレスが、着替えるよう、王宮に仕える使用人によって、手渡された。
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