ヒースランドへ
月が闇夜を照らしていた……まるで廃墟のようになったカストゥール邸 使用人達はみんな逃げ出し僕達4人だけになった 満月の静かな夜だ アステルがリビングルームの先にある大きなプールの側に座り物思いにふけっていた……「アステル」そんなアステルにフィオナが声をかけた……「奴がが奴隷商人だった事 そして怪物に変身した事……ショックだったか……」「まあね……最初は……でも今は感傷に浸っている場合じゃない……何か見えない邪悪な空気がこの世界を覆い始めている……感じるの私は……ヒースランドになにか手がかりがあるはずよ・急がなくちゃ……」「あたしもお前たちに……ついて行きたい」「えっ」「あたしは ずっと……剣闘士として 観客やカストゥール達金持ちの…… 賭けの対象として金儲けの道具として戦わされていた……あたしは……もう自由になりたい……この国では あたしは最強の女戦士と言われるが……他の国では それが……通じるかどうか……あたしはあたしより強い奴と……戦いたい……それが今まで鎖で つながれていたあたしの心を開放してくれる……」「あなた……が 一諸に戦ってくれるなら心強いわ……大歓迎よ……でもセシリーちゃんは どうするの? 」「セシリーも連れてゆく……大丈夫だ あたしが あの子を守る あの子は他に身寄りが いない セシリーは奴隷として売春宿に売られそうになった……あんな小さな子供を買おうとする畜生ども……あたしが 買い戻して セシリーを自由にした……それから あの子を妹として引き取った……ふふ あの子は昔のあたしに 少し似ている あたしも あの子ぐらいの時売られた実の親に……売春婦として子供の頃は生きてきた……」フィオナの茶色の瞳が少し揺れたように見えた 「あたしは 強くなりたかった……だから剣の道へ……体格にも あたしは 恵まれてたし……はははっ この でかい図体だ……」「フィオナ……辛い過去を ごめんね……話させて・私達 今日から仲間 よろしくね……」「ああ……よろしく」二人の間に あたたかい空気が 漂っていた……
その頃ヒースランドの小さな街ヨルクガンド……満月が一人の青年を見下ろしていた……そこは墓場だった 無数の十字架の墓が並ぶ……青年は 背が高く痩せていて 丸メガネを かけている 青ざめた白い肌に癖が かかったボサボサの黒髪 コバルトブール色の大きな瞳……左手にはフランス人形が入るくらいの大きさの黒い棺桶……右手には……細長いマスケット銃 を 手にしていた……
「ランスロッテ」黒い棺桶に青年は・語りかけた……「もう すぐ……世が あける 白い闇が……おりてくる……」不気味に話しかけた……
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