謎めいた少年
明るい目と髪をした少女が、親しげに昴達に、話しかけてきた。
「あたし達といい事しよーよ。楽しい事。気持ちいい事。」
少女に気に取られているうちに、いつの間にか昴達一行は、6人くらいの屈強な大男達に取り囲まれていた。
「さあ、有り金全部、よこしな。お前ら、金持ちそうだな。」
大男の1人が、楽しそうに言った。このベロナの町では、よくあることなのだろう。通行人は誰一人、気にかける事はなく、知らんぷりだ。
生暖かい風が吹いた。そして、フィオナがあきれたような表情を見せ、言った。
「あのなあ。お前ら。 もう、くだらない事は、やめて家に帰って寝ろ。いいな。?」
仲間達もフィオナに同意見だ。何故、リカード、フウマ、フィオナ。の、いかにも歴戦の戦士という、 風貌。そして、見るからに、只者ではない、魔力を有する、アステル、セレーネ、セシエル。そして、呪われた子ども、チユキ。そして、伝説の龍ハイランス。どう見ても、昴以外は強そうである。何故、この一行に金を脅し取ろうとするのか?それとも裏に隠された、ひねくれた罠があるのだろうか。
「いいから。ぶん殴られたくなかったら、金を渡せ。」
ゴロツキ の一人が芝居かかった調子で脅す。ぶん殴るも何も、こんな連中、片手で一瞬にして、やっつける事ができるであろう、リカードが、穏やかな口調でたしなめる様に言った。
「フィオナの言う通りだ。君達には、我々に かすり傷一つ、つけられない。」
ゴロツキ達が、困った表情になる。誰かに無理矢理、やらされているようだ。
話しかけてきた、少女も怯えている。ゴロツキや、少女が何かを怖がっている。何を、そんなに。
その時だ、豪奢な馬車。色とりどりの宝石が散りばめられた美しい馬車がこちらに向ってくる。
馬車から、少年が 偉そうに出てきた。やはり、宝石が散りばめられた、洋服。
この少年は、何者なのか。でも、一つだけ、わかるのは、非常に身分の高い人物だと言う事。
「あんなんたんはん誰んなのん。」
相変わらず難解な口調で、大賢者セシエルがゼニアス猫を抱えながら、たずねた。
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