闇空間
「なぜ、お前はその醜い獣を助ける。何故だ。」 「この子はあたしと同じだからよ。ある男の後悔の念と愛の心で、私はこの世界に生まれたのよ。この子も同じなのよ。」
「 言ってる意味がわからないな。」 「あんたは知らなくていいの。これはあたしと、この子の問題なのよ。邪魔しないで。あたしは この子 とお話がしたいのよ。ひっこんでてよ。」 ツキハが悪夢を振り払うみたいに、首を振った。黒髪が美しく揺れた。
白い髪を振り払いながら、セレーネが言った。
その言葉に無言でツキハは答えた。ラセツが倒れている所を離れて、一人物憂げな調子で何かを考えて いる。
それを見計らうとセレーネは、何か呪文を唱えた。すると何か丸くて黒い空間が現れた。 小さな丸い黒い空間は星が散りばめらてている様に輝き、そして、 三日月の、傷をひっかいた様な月が浮かび上がる。
小さな夜の空間が現れたのだ。その小さな夜の空間は、次第に大きくなっ てゆき、倒れているラセツとセレーネを包んだ。二人は 闇に飲み込まれていく。 ・・・・・・・・・・・・ ☆☆☆☆☆☆☆☆ 「あなたは誰なの?ここはどこなの。」 一人、少女が立ちつくしていた。赤いルビーの様な瞳。赤茶色のウエーブがかかった髪が可愛い 丸顔の幼い顔立ちを引き立てている。 少女は何も衣服をつけていない。 全裸だ。だが、恥ずかしいとは、思わない。この闇の空間は、とても 居心地が良い。 寒くもなければ暑くもなかった。 「あんたの事をどう呼べばいいの?。ラセツちゃん?。それともチユキちゃん?。」 「どちらでもいいよ。白いお姉ちゃん。でも、ラセツは嫌かなあ。」 白いお姉ちゃん、と呼ばれたもう一人の少女はセレーネだった。セレーネも全裸で、ツインテールの髪型ではなく、白い長い髪を下ろしていた。その姿。セレーネの姿は、息を飲むほど美しかった。
「じゃあ、チユキでいいわね。 よろしくね!。私はセレーネ。セレーネ ヴァイスよ。」 セレーネは、チユキの側に来ると、優しく頬を撫でた。二人は見つめ合う。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 二人だけの愛の時間が始まる。
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