暴力に満ち溢れた世界
ツキハがゆっくりと、刀を抜いた。そして容赦無く、本来、フブキであるラセツに切りかかる。ラセツは ギラリと光る、ツキハの刀を見つけると同時にツキハに鋭い牙を向けて、襲いかかってきた。 「バシュ!!!!」 その瞬間、ツキハは何も恐れる事はなく、ただ静かに、気を集中させ、刀に気を込めて奥義、月刃撃破を炸裂させた。 「 ギャやおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」 ラセツが、恐ろしい叫び声をあげて、血まみれで倒れた。 ツキハの奥義「月刃撃破」は月の形をした衝撃 波で、この様な奥義ができるのは、この世界でも、ツキハとそしてツキハの兄のフウマの二人だけである。まるで気が魔法の様な役目を果たし、自由自在に変形する事ができる飛び道具のようでもある。 月の形をした衝撃波を、ラセツはまともに受け、身体中が傷だらけだ。 ラセツの黒い毛に覆われた体は無数の赤黒い血が、滴り落ちていた。 そして、ツキハが倒れたラセツに、とどめの一撃を刺そうとしたその時だ。 「もう 止めてよ。その子死んじゃうわよ」 若い女の声が広い部屋に、響き渡る。 凛とした声。 その声の主は、アステルでもフィオナでもなく、あの女だった。 白いツインテールが揺れ、美しい金色と紫色のオッドアイを持つ 、あどけなさの残る 顔立ちは、小悪魔 的であり、清楚でもあった。 「フン。白き魔女。人一倍、残忍なお前に殺しを止められるとは。いやお前は人じゃないか。小悪魔」 ツキハが、皮肉たっぷり言った。 そして……「こいつは醜い獣だ。それが許せない。だから消してやる。こいつの為でもある。」 「だからって、殺して言い訳ないでしょうよ。あんた地獄に落ちるよ。無用な殺しばかりしてるとね。フフフ。」
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