ミロク・・心が一つに
僕達は目を疑った……カストゥールの体が序々に豹変していく……彼の端正な顔立ち……唇が裂けて赤い舌を ちろちろ と出し……彼の美しかった青い瞳は大きく変形し爬虫類の目の様に細長く鋭くなった・まるで蛇人間の様だ……そして体には蛇の鱗に似た物が生えてゆき・巨大な鱗に包まれたシっポの様な物がカストゥールの体から飛び出した……その余りにも怪異な姿に僕は言葉を失う……アステルの方を見た アステルの体が一瞬全裸になり金色に輝いた・そして聖獣 ミロクに変身した ミロクが息を吐き僕の心に語りかけてくる「スバル……私の背中に乗って……そして私と一つになるの……君の世界と私の世界が溶け合う時 奇跡が起きる……」僕は知らず知らずにミロクの背中に乗っていた……そして少しずつミロクの背中に体が吸い込まれてゆく……前からこうしていた様な・懐かしい気持ちになった……子が母の体内に帰るように……どうしようもない安心感に僕は泣きそうになった……そして 完全にミロクの体と僕は一つになった またアステルの声が聞こえてきた「カストゥールを救うのよ……彼は・肉体を悪魔に蝕まわれている……彼の魂を救うの……」そこには もうカストゥールの姿はなく……巨大な蛇の様な怪物が こちらを……ミロクになった僕達を睨みつけている……「伝説の怪物バジリスクよ……」アステルの声が聞こえてきた……「さあ……救済よ・彼の魂を……地獄に落ちた魂を救う時よ……」バジリスクが僕たちに襲いかかってきた! 蛇の様な体に似合わず かなりの素早いスピードでミロクの体に絡みつくと……ミロクの体をギシギシと すごい力で縛りあげた「うう……」激痛が僕を襲う……体を 縛りあげられているみたいだ アステルも苦しそうだ……僕たちは体も心も一体で僕の苦しみはアステルの苦しみでもあるのだ……このままでは・ミロク すなわち アステルも僕も死ぬ……僕はアステルを守りたい……僕は死んでもいい……アステル・アステルだけは・その時だった……僕の体が炎の様に熱くなり……ミロクの体から紅蓮の炎が はとばしる! ミロクの体に絡みついていたバジリスクは 巨大な鳴き声を発しその場に倒れた……そして人間の姿に……カストゥールの姿に戻った……ミロクもその場に倒れアステルの姿に戻った・僕はミロクの体内から投げ出された・「いてえ」僕の声で気を失っていたアステルが目を覚ました……「スバル大丈夫?」「僕は大丈夫だ……カストゥールは?」僕はカストゥールの方を見た……カストゥールは 倒れたままピクリともしない……彼は死んだのか? それとも……
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