闇に潜る
その日の夜。何やら不気味な集団が暗い森を抜け、人気のない道を通り、丘の上に立つある洋館を目指していた。 30人くらいの集団が 黒いローブや仮面、山羊の様な被り物の扮装をして、たいまつを頼りに闇に潜り無言でただひたすらに、無気味な洋館へ・・・・その後ろを二匹の猫が静かに息をひそめる様にして、後をついている。猫に気がつく者はいなかった 。猫の毛の色は黒く、闇と同化していた。それにほとんど存在の気配を消していた。
この猫達はある使命を持っていた。ある役目を。それは今は誰にもわからない。 やがて洋館が見えてきた。月に照らされて、豪奢な蒼く光る洋館。まるで青ざめた魔女の顔の様だ。 洋館も昼間は美しいのだろう。だが夜は、何とも不気味で巨大に見えた。まるで、昼間は見えぬ、人々の 夜の顔の様に。心模様の様に。 洋館の扉が開いた。不気味な集団を待っていたように。扉が開かれると、年老いた館の執事がいた。 「皆様、ようこそいらっしゃいました。デッドリーフ様がお待ちでございます。」 うやうやしく執事が言った。執事が歩き出すと、その集団は、ぞろぞろとその後をついていく。 また黒猫達が、その後をついていった。 ピーンと張りつめた空気の中で、誰一人として言葉を発する者はいない。皆無言だ。 そして。この館の主が現れた。 薄い色のブロンドの髪、長身で痩せたピンク色の丸眼鏡の男が現れた。 「デッドリーフ様。皆様が ・・・・・・・おつきになりました。」 「セバスティアン、ご苦労。もう下がって良い。これから楽しい夜会の 始まりだ。皆さん。私が主催者のデッドリーフ。歓迎しますよ。」 謎めいた男が集団に微笑んだ。
読んでいただきありがとうございます。