母の想い
聖ガルーデ教会後にしたアステル達は、デトレフとデトレフの両親が経営する宿屋「暁の家」に 行くことにした。そこで リカード達と落ち合おうとしていたのだ。その前に、セレーネと合流した。セレーネは相変わらず不機嫌そうにしていた。プンプンプンと顔から湯気が立ち込めそうだ。 アステルとフィオナはセレーネをなだめながら、「暁の家」に向かう。以前滞在した懐かしい宿屋にたどり着いた。 すると玄関から 痩せた中年の女性が不意に現れた。デトレフの母親ミリアだった。癖のついた黒髪に、丸眼鏡、 コバルトブルーの大きな瞳のミリアは一目でデトレフの母親だとわかった。 ミリアはアステル達を見るなり、泣き出した。しかも大声で。慌ててアステルがミリアに声を掛ける。 「どうしたのですか?デトレフさんのお母さん。」 「あの子。デトレフ。あの子が・・・・様子がおかしいのよ。自分の手首を傷つけて、生き血を飲んだり、食事もたべない、眠らないし・・・・・そして・・・・・」 ミリアが嗚咽しながら 叫んだ 。もう、どうしようもないと言う風に。
「そして、どうしたんですか。お母さん。気をしっかり持ってください。」 昴がミリアを元気ずけた。 ミリアは、目を伏せた。それは言うのも恐ろしくおぞましい。・・・言葉。 「あの子は夜な夜な、黒ミサに出かけているかもしれないの。」 黒ミサ。悪魔を崇拝する者たち。そして 恐ろしい儀式。 デトレフの心の闇。 デトレフの氷のように冷たい態度はそのせいか。フィオナは思った。
読んでいただきありがとうございます




