戦士の勘
デトレフから紹介された、聖ガルーデ教会の神父ヘルムート・フリッツ・・・が、丁寧に会釈をし、皆に握手を求めてきた。ヘルムートは丁寧に一人づつ瞳を見て、手を握ってきた。ヘルムートが非常に紳士的 で、礼儀正しい性格が皆に伝わった。
そして、握手はリカードの番に回ってきた。リカードとヘルムートは、固い握手を交わした。それは、とても普通の光景であったが。・・・
リカードの中ではそれとは違っていた。リカードの中では、・・・ヘルムートと握手をした時、ビリビリと手から、何かが伝わってきた。何だかわからないが・・リカードはヘルムートから自分に近い何かを感じ取っていた。同じ匂いがする。・・
この華奢で優男の神父から、熱い気迫を感じた。大男のリカードより小柄なこの男から、感じられる、不思議な迫力に一瞬たじろいだ。・・リカードの戦士としての勘。・・・鋭く研ぎ澄まされた勘。・・・このヘルムートと言う男・・只者ではない。・・そうリカードの中では結論づけた。
「リカードんちゃん、何んどうしたんのん。」
ヘルムートと握手を終えて、・・・ボンヤリとしているリカードに、セシエルが、心配して声をかけた。戦士の勘は、セシエルにも・・大賢者セシエル・エヴァハートをもってしてもわからないらしい。
ハッと我に帰るリカード。リカードは慌てて、「なんでもありませんよ。セシエル様。」 セシエルの心配する声に答えた。
「デトレフさん・・案外元気そうだったわね。」
アステルがそう呟いた。・・・教会に、まだ用事があると言うデトレフ、ヘルムートと再びまた会う事にして、別れ・・その後、一行は聖ガルーデ教会を出た。
「さあ・・カフェ・・ペトゥラに行きましょう。セレーネの奴・・居れば良いけど・・」
アステルがそう言った時。・・不意に体が白く羽が黒い鳥が飛んできて肩に止まり、嘴でアステルの頬を優しくつついた。
その時だった。鳥が一瞬光り輝くと、人間の形になった。
「もーあんたたち・・遅すぎよ。」
どこかで聞いた声があたりに響く。すると、女神のように美しい少女が現れた。
鳥は魔術で変身した、セレーネ・ヴァイスであった。一行が驚いて、口をあんぐり開け、この白き魔女 を見つめた。
一人だけ違う感情で昴はセレーネを見つめた。いや、見とれていた。
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