謎の男デッド・リーフ
時おり冷たい風が吹く。ヒースランドの街・・ヨルクガンド。・・・夜明け前。
絵本から飛び出した様な可愛らしい街・・だ。 しかし、どうしようもないほど、不気味な場所があった。
別名・・死霊の棲家と言われている、墓場だ。無数の十字架・・朽ち果てた墓が、並んでいる。
地元民は昼でも近づかない。余りにも気味が悪い場所。なんでも身元がわからない者や犯罪者が眠る墓で、花を手向ける人も、管理をする人もいない。・・荒れてすさんでいた。
そんな墓場に人影があった。少女と男のようだ。
男は痩身で背が高く、紫色のマント・・同じ色のローブを身につけている。
少女の方はというと、ヒースランドの愛らしい民族衣装を着ていた。
男が少女に語りかける。
「酷い有様だ。・・ここは誰も近寄らない。・・そして住民たちは、この場所を死霊の棲家と呼び恐れている。・・この墓に眠る者達は、生前・・犯罪を起こしてはいるが、元はこの街の人間だ。愚かな事 だ。何故・・誰も見て見ぬ振りを続けるのだ。・・忌み嫌うのだ。」
男は何かを悟った様に言った。
男は白色に近い金髪の髪。・・薄いピンク色の メガネをかけている。ピンク色のメガネから紫色の瞳が鈍く光る。
少女が答えた。
「人は誰でも、よくわからない物は恐ろしいの。でも・・自分達もいつかは死に・・朽ち果てるのに。・・この墓場の住人と同じになるのに。・・なんでも醜いモノや自分たちと違うモノを排除したがる自分達が一番恐ろしいのを皆気づいていないの。そうよね・・。ドクター・・デッド・リーフ」
少女が知ったふうに答えた。・・そのあと・・だから、白き自由の翼が必要なの・・・と続けた。
少女は10歳くらい・・。長い赤茶色のくせ毛の髪。ルビーの様な紅い瞳。・・ピンク色の健康的な肌と丸いプックリとした顔が、幼さを強調していた。
夜が去り・・・静かな夜は去り・・・始まりと日常の朝が舞い降りた。
朝は来た。・・でも・・それがいつもの平和な朝だと限らない。・・朝は、毎日違う顔で舞い降りる。
読んでいただきありがとうございます。・・




