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竜も食わない女の戦い   

読んでいただきありがとうございます。・・

デトレフに別れを告げると、アステル達はヒンディールに向かった。とりあえずアステルの 邸宅に向い戦いの疲れを癒す事にした。 


  ヒンディールのアステルの邸宅に付くと、メイラン ・・ウオーレム家のメイドが温かく一行を迎えてくれた。


               

 「アステルお嬢様・・そして皆様。よくご無事で。」



 「メイラン 、嬉しい・・ここに生きて帰れて。」 



アステルとメイランが抱き合った 。メイランの黒い瞳に涙が滲む 。 




   感動の再会だった。だが・・それをぶち壊す様な、とぼけた声が 邸宅の奥から聞こえてきた。



    「ねえ・・メイラン。ケーキのおかわりまだ〜?」 



この声どこかで聞いた事がある。・・・・そう皆が声の主を思い出していると、メイランが ・・ヒソヒソ話を始めた。・・・




     「あの人はアステルお嬢様のお仲間ですか?それにしても・・ずうずうしい人・・いえ・・方ですねえ。いきなり扉をすり抜けて来て・・ あたし様はアステルの大親友だから、ここにいてもいいでしょう?ちょっと、あんた気が利かないわねえ。ケーキとお茶でも出しなさいよー・・てっ」




   そう言うとメイランが、クスクスと笑い出した。 




  「ね 〜メイラン」 




甘える様な、ねだる様な・・・声が響いた。





   「はい・・セレーネ様・・少しお待ちをー。」





  やはりあの女だった。「セレーネ・・ヴァイスちょっと・・あんた。」






  アステルがズンズンと邸宅の奥・・声の主を見つけだした。   



   そこは応接間で、豪華な装飾がしてあり、美しい彫刻が飾られている。天井は高く、シャンデリアが誇らしく光を放っていた。暖かく清潔で、居心地のよさそうな場所だ。




   そこのフカフカの大きなソファーに猫の様に、白い髪の美少女が横たわり、くつろいでいた。



大理石の床が、淡い光を放ち・・白い髪を銀色に染め上げた。・・キラキラ光りを放つ瞳。 雪の様に白い肌・・プライドの高い猫の様だ。



  「ねえ、どうしてアンタが先に来て私の家で、くつろいでんのよー。ヒンディールのカフェで落ち合う約束でしょう。」 


アステルがセレーネに文句をタラタラ言った。


 「だってえ・・こんな陰気臭い所で・・寒い所のカフェで待てるわけないでしょうよー・。魔法でアンタ(アステル)の家を探し出したんだけれどなかなか良い家じゃない。可愛いメイドちゃんもいるしさ」



  「だからって。・・自分の家みたいに。それにアンタは私の大親友じゃ。・・ない」



「いいでしょう。ごちゃごちゃ、うるさいわよ。アンタの物は、あたしのもんだからねー」




 すかさずセレーネが、アステルの横に居た昴に可愛くウインクした。




  昴が耳を赤らめると、すかさずアステルの肘鉄が昴の脇腹にヒットした。




 「グウ」思わずよろける昴。その様子を見て笑いを必死にこらえているメイランが、皆に言った。 





   「さあ・・お風呂ができましたよ。ゆっくり戦いの疲れを癒してくださいね。」 




 一番風呂は、昴が入る事になった。この邸宅にはなんとバスルームが四つあり、一つは来客用で男性用

、もう一つも来客用で女性用・・プライベートのバスルームも女性と男性に別れていた。




  昴は、さっそく裸になりバスルームに入ると、思わず目を丸くした。




  バスルームは広く浴槽はプールみたいだ。思わず泳ぎたくなる。 



  そして ピカピカの大理石の床。円柱があり・・どこもかしこも掃除が良く行き届いていた。



   「ふー」昴は気持ちの良さそうにため息を吐き、浴槽に浸かる。




   その時だ。「にゃーん・・にゃーん」猫の鳴き声がして・・途端に昴のぼッーとしていた頭を、はっきりと目覚めさせた。



  猫が円柱から小さい顔をのぞかせた・・。白い猫・・ オッドアイだ。可愛らしいというよりも美しい猫と言う感じで、細い体、しなやかな体をしていた。




  何故・・猫がバスルームに。・・ここの飼い猫なのかな。昴は思わず猫に手を伸ばし頭を撫でようとした。 




    

その時! ポンと音がした。猫がみるみる内に人間の体つきになった。艶かしい曲線・・長く細い足・・。美しい娘の体つき・・そして毛むくじゃらの体が、滑らかな肌になって行き・・次第に人間に近くなって行く。



 そして・・完全に人間の女の子になった。



   「君は・・・・」昴が、驚きで目をまん見開いた。





 「スバル・・お背中流しましょうか。・・ふふふふふっ」



  「 わあー君はセレーネ・・セレーネ・ヴァイス・・」




「猫になって忍び込んだにゃん。・・」





 蜜のような声でセレーネが言った。セレーネは、あえてネコミミとシッポは残しておいた。可愛く見せる為に。・・・・・



  「ワー僕は今裸なんだよ。来るなー」





  セレーネの方はと言うと、セクシーな下着を身につけていた。





  これはまずい。・・どうすれば。・・昴は身動きできない。・・




その時だ。バスルームのドアが勢いよく開いた。




「あんた・・何やってんのよースバルを誘惑しようとしてたでしょうー」





 アステルだった。そしてズカズカバスルームに入ると、セレーネの長い髪をムンズと掴んだ。





   挿絵(By みてみん)




 「 ちょ・・何すんのよ。アステル。・・」 




 「このエロ猫!変な猫の鳴き声が聞こえると思ったら・・やっぱりあんただったのね。」





  アステルとセレーネが喧嘩を始めた。





  昴はその隙に、大事なところを風呂桶で隠しバスルームから逃げ出した。




それから急いで用意してあった部屋着に着替えて。一息ついた。




   挿絵(By みてみん)


( やれやれ・・気が全然休まらないや。)・・ ハイランスも食わないような、とっ組み合いの喧嘩をアステルとセレーネは、繰り広げていた。 






             

        

            

      



  

   

            

 


            

        

           

   


    


  

        

    

      


    

          


       

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