青春の終わり
読んでくださりありがとうございます。
デトレフがコバルトブルー色の瞳から、ガラスの様な大粒の涙を流した。
「僕は何も出来なかった。二人は、あの変な奴に連れ去られて。」
「デトレフさん ・・・しょうがないよ・・しょうがなかったんだ・・。アイツが煙みたいに消えて、 でも・・皆・・ 必死に戦って。」
昴が、デトレフを慰めるが・・・・。デトレフの瞳の色には、絶望が漂っていた。
デトレフが嗚咽しながら、尚も続ける。・・・
「僕はまるで、豚野郎さ・・。何も出来なかった。・・ただ二人が消えてゆくのを、ただ見ていただけさ 。・・守れずに・・また・・・これで二度目さ・・。もう・・僕の青春は終わったんだ。」
「デトレフさん・・僕もすごく気持ちが分かる。・・分かるよ・・」
( 僕も・・。詩音を守れず・・・。僕は詩音にそっくりな、セレーネ・ヴァイスを見つめた。)
「ああ・・もう・・お前の青春は終わったよ。・・デトレフ・・・・」
フィオナが追い討ちを掛けるように言った。・・・・「お前はもういい」
「フィオナさん?」
「昴・・あたし達はコイツ(デトレフ)を過酷な戦いに巻き込んでしまった。・・アステル・・こいつをヒースランドへ・・故郷の町 ヨルクガンドへ送り届けてやってくれ。」
「そうね。デトレフさん。帰りましょうね・・・・故郷へ」
アステルが優しい声で言った。
「これから・・白い虚無を探し出す旅が、戦いが始まる。・・これからの旅は、熾烈を極め・・・より過酷になる。・・ デトレフさん・・。約束するから。・・必ずロッテちゃんとフブキを取り戻してみせるわ・・。」
デトレフはアステルの言葉を静かに聞いていたが。・・・いきなり・・!・・ 。
大声で笑い始めた。
「ははははははは。アハハハハははははは。僕はもう、 用無しか。」
そして・・陰険などこか悲しみに満ちた顔でボロボロ涙を流した。
そして、・・「さようなら。みんな・・ご無事を祈るよ。役立だずは消えるとしよう・・・」
恨みがましく言い、リカードに・・「娘さんに宜しくな。」とつぶやいた。