白い虚無
感情のないはずのフブキが、震え出し、恐怖に怯えていた。それを心配したランスロッテが、 フブキの
背中を優しく、さすり・・声をかけた。「フブキ様 大丈夫ですの?」「・・・・」フブキは、 答えることが出来なかったが・・・ かろうじてコクりと 頷いた。
フブキにも少しだけ、感情が戻った。喜ばしい事だったが、安堵している暇はなかった。
何かアルバートが小さな声で、呪文を詠唱し始めた。五大賢者にしか出来ない高等呪文。
そして、フレデリカに奇妙で、複雑な形をした魔法陣を描かせた。
穢れのない少女の描いた魔方陣が、白い虚無を呼び寄せる事が出来るのだ。
雪が穏やかに降り注ぎ始めた。その時!
魔法陣の上に何かが舞い降りた。そこにいたのは・・・・・奇妙な灰色のローブを着た女だった。
ゾッとするような白い肌。血が通ってないような、人形じみた肌・・その腕には赤ん坊のような布にくるまれた、物体を抱いている。
切れ長の黄金の色の瞳・・・・・長く白い髪を、風になびかせている。
どこか。・・何となくだが・・。昴の惨殺された幼なじみ詩音に似ていた。
アルバートが白い虚無?に跪いた。慌ててフレデリカも跪いた。
そして、呪文で遠くにいたフブキと、ランスロッテをアルバートは、呼び寄せ・・・
ランスロッテは必死に踏み留るが、フブキはドンドン白い虚無の方へ、引き寄せられてゆく。
このままでは、フブキは 生け贄にされてしまう?。
「 フブキ様」
ランスロッテは叫んだ。
読んでいただきありがとうございます。・・