夜のデート
こんな所で それも異世界のプールの中で僕は死ぬのか……その時バシャン! ……プールに水しぶきがした アステルだ! 彼女は かぶっていたティアラを投げ捨てると一目散にプールに飛び込みドレスのままで器用に泳ぎ 溺れかけていた僕を助けてくれた 「大丈夫? スバル!」「げほっげほ大丈夫だ……アステル 僕は……ありがとう……」下を向きながら アステルに礼を言う・せっかくのドレスやタキシードが ずぶ濡れだ……「大丈夫か お主たち……心配でごじゃる……」フブキが本当に心配そうに僕達に 駆け寄ってきた……カストゥールも僕たちに近づいてきた「すまない……ちょっとした悪ふざけの つもりだった」カストゥールが僕に わびた でも それは本心ではないと気づいた・僕は体の震えが止まらず吐き気がした・そんな僕をアステルが静かに正面から抱きしめた 温かな安堵感……アステルと僕はプールの縁に座りながら少しの間抱きあっていた……それをカストゥールが まるで 汚らしいモノを見るように睨んだ……そして声を荒らげ「誰かこの二人にタオルを持ってこい」威張った調子で言った……「けっこうよ!」アステルが吐き捨てるように言いカストゥールを睨んだ……そして強引に僕の手を ひっぱるとズンズン歩きだした・「どこに行くんだ アステル」カストゥールが 叫んだ 「少し夜風に あたってくるだけよ・あたしと スバル二人だけにして」アステルが少しきつい口調で答えた・僕は内心タオルがほしかたっが・ずぶ濡れだったから……しかし・アステルに怒られそうなので 彼女の いうとおりにしたしばらく歩くと カストゥールの邸宅の大きな庭の噴水の石畳に僕たちは 座った 噴水は沢山ありそれぞれ虹色にライトアップされていた……ロマンチックで まるで ちょっとしたデートスポットみたいだ……僕はアステルを見つめた 美しい横顔……でも すごく悲しそうだ……アステルがポツリと つぶやいた……「あの人は私の知っていたカストゥールじゃない」アステルが続けた「私の両親とカストゥールの両親は古くからの知り合いでね……私よく ここに遊びに来てた……当時はこんなにリッパな家じゃなかったけど……カストゥールは私のお兄ちゃんみたいだった……優しい人だったのに……すごく……」「でも……変わった?」僕は濡れたズボンを見ながら言った 「そうね……ふふふ 私たちの力になってくれると思った でもあの人は自分のお金儲けで……心が いっぱいみたいね……目つきが変わってしまったもの……」アステルは 煌びやかな噴水を見ながら静かに言った
閲覧していただきありがとうございます




