溺愛
ここは、時の神殿の地下都市・・アースガルド。ラダ・ナークでも幻の都市と言われていた。
小柄な人達が住む都市で、人々は静かに暮らしていた。その中で、一際目立つ二人の男女が・・・。
アルフィンの五大賢者の一人、アルバート・ノイマンそして・・その娘のフレデリカ・ノイマンだ。
長身・金髪の二人は黒いローブを身に付け出来るだけ目立たぬように、ヒソヒソと話をし始めた。
「すまない。父さんはお前を巻き込んでしまった。だが、これも人類の更なる繁栄のためなのだ。
ラダ・ナークから貧困や格差に苦しむ人々を、救うためだ。わかるかい。その為には二人の天使が必要なのだ。体内にアルフィンの石を宿す二人の天使。予言書の通りだ。ヨランダ(アイリスハート先生)から、その話を聞いた時は、鳥肌が立った。・・」
「お父様・・本当に人類の繁栄のためなのね。あの二人を予言書通りに、白い虚無の生贄にして・・」
「そうだ。・・全ては、皆の為なのだ。我が、愛き一人娘フレデリカよ。・・・」
「お父様」
アルバートはフレデリカの 肩を強く抱いた。
その手・・アルバートの手は、重く窮屈に感じられ、・・フレデリカへの親子の垣根を越えた、愛と期待 ・・・それらが、ずっしりと伝わってくる。・・フレデリカは嘔き気がし、顔を思わず顔をしかめた。
ランスロッテとフブキが、 囚われている小屋・・・
頑丈な鍵が、開かれ・・黒いローブを着た男女が、小屋の中に入ってきた。
アルバートとフレデリカ。・・・そして、囚われの身の天使達。・・ランスロッテとフブキの縄をアルバートが魔法で解いた。
ランスロッテが、ノイマン親子を睨みつけた。
ほとんど自分の意思をなくしているフブキは・ 放心したように宙を見つめていた。
読んでいただきありがとうございます。・・