アラクネー
レナは何も語らず、不敵に傲慢に微笑んだ。そして、リカードの問いにもアステルの問いにも答えない。 この娘に何が会ったと言うんだ?。無邪気で優しく愛らしい女の子だったじゃないか。・・何故?
昴は思った。レナは誰かに操られているんじゃ・・いや、これが、レナの本性? 考えたくない。でも女の子は怖いから。・・・
昴は冷や汗をかき、ため息をついた。ちょうど幼い、虫も殺さないような女の子が・・いきなり成熟し、悪女になったみたいだ。
他の仲間達も、ショックを受けていたが、とりわけ衝撃を受けていたのが、アステルだった。
アステルの瞳から、当惑の涙が滲みでていた。
その時だ・・・レナの口から恐ろしい言葉が、もつれ合うように出てきた。
「コロ・・す・・お前たちを・・みんな 引きちぎって・・やる」
ハァ・・ハァ・・ハァ・・少女が苦しそうに、息を吐く。
すると突然、レナの体から蜘蛛の様な手足が、はえてきた。
レナの体が、みるみるうちに、巨大な蜘蛛の顔のようになり・・
その姿はギリシャ神話の怪物・・アラクネー(蜘蛛女)の様で奇妙で怪異だ
昴は、アステルを守るように前へ出た。
「すごい・・怖い・それで奇妙だ。でも君だけは、守るよ。・・」
昴が心の中で呟いた。
そうすると、アステルの想いが、声なき声が、スバルの心に響いてきた。
「私たちがレナを救わなければ」
昴も心の中で頷いた。