焔と氷
一行がダンジョンを急いで進んでいると、氷の結晶がちらほら空中に漂っている。その姿は不気味で何か悪いことが起きるのではないのだろうか。
その時だった。氷で出来た蜘蛛が、突然何もない空間から現れた。
氷で出来た蜘蛛は口から白い糸を吐き出した。白い糸は形を変え「ようこそ」という文字に変形した。
そして「ようこそ」の文字が少しずつ変形していき、人間の姿になっていった。やがて、はっきりした人間の姿になった。
アステルの顔色が青ざめた。
「あなたは・・・レナ・・レナでしょう! どうしてここに」
そこにいたのは レナ・ロートオルデンだった。
黒髪に白いヘアバンド・・太く凛々しい眉 大きな紫色の瞳 少女らしい、あどけなく愛らしい顔立ち・・。あのレナだった。
黒いローブに身を包み、厳しい表情をしている。
レナは、アステルの問いに答えない。その代わり、声の主のアステルを睨みつけた。・・
アステルは、レナの氷のような視線に、ひるむ事無く・・果敢にレナに怒鳴りつけた。
「あなたが、あの二人フブキとランスロッテを拐ったてっゆうの!嘘でしょう」
「そうだ・・どうして君がここにいるんだ。話を聞かせてくれ。・・なぜ・・」
焔のようにレナを問い詰めるアステルとは対照的に、リカードが静かに、優しくレナに問うた。
いったいレナは何を企んでいるのだろう。・・昴は思った。
読んでいただきありがとうございます。・・




