あの女が再び
ダンジョンに聞き覚えがある、若い女の声が響いた。一行が、声の方に目をやると・・あの女がいた。
セレーネ・ヴァイス・・白き魔女だ。
「まーた会ったわね。あんたたち・・ここで、がん首揃えて何してんのよ」
白く長い髪をツインテールにしばり、艶かしいエナメルで出来た、赤いドレスを着ていた。
手には奇妙な形の杖を持っている。
「あんたは白い魔女!あんたこそ何してんのよ。」
アステルが怒鳴った。
「まあ、ミロクちゃん・・お久しぶりねー。可愛いお尻震わせちゃってー・・」
セレーネが、からかうように、馬鹿にするように挑発した。
「お主が白き魔女でござるか。・・お主の噂は聞いておる。アステル殿を侮辱するなら、女人でも許す事はできないでござる。」
フウマが、ナイフの様に鋭く言った。
「侍のお兄さん、そんなにムキにならないでも・・いいでしょ。それとも・・この化物のアステルちゃんが好きなわけえ。」
フウマの顔が赤くなった。フウマはアステルに恋をしているのだ。・・・
セレーネの妖艶な笑い声がダンジョンに響いた。・・
スバルの心は複雑だった。・・(詩音にそっくりな顔で、そんな下品なことを言うな・・それにしても・・死んだはずの詩音が蘇ったみたいに、本当に生き写しだ・・。こいつは本当は蘇った詩音なんじゃ・・・)
昴の声無き、嘆きがため息となって、ダンジョンに響いた。・・
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