愛の逃避行
「へーあなたがアルフィンの五大賢者の一人・・セシエルなの。・・」
アステルがセシエルを物珍しそうにジロジロ見た。
「そ〜よん♥アステルんちゃん、私んがんセシエル・エヴァーハートんよん」
セシエルがアステルの視線に、まったく動じず飄々と答えた。
「なぜ・・私の名前を知っているの?」
アステルが不思議そうに、セシエルにたずねた。
「ここんへ来た時ん、すぐん、あなたんの顔んを見たらん・・名前ンと正体んがん、わかったんのよん。・・あなたんはん、ミロクン・・超獣ン、ミロクん・・他のんりカードんちゃんの、お友達んもねん」
( さすが、ね。ただの頭がパー子さんじゃないのね。・・・私んの・・あっ・・口調が、うつっちゃったわ。・・)
アステルがセシエルの事を感心したように見つめていると、
セシエルは、アステルにクルリと背を向け、満面の笑顔でリカードに話しかけた。
「リカードんちゃん、私んの事ン呼んだン?」
「セシエル様、私、お聞きしたいことが〜」
「ランスロッテんちゃんとフブキんちゃんノン、行方えねん。」
「さすが、セシエル様!何でもお見通しですね。」
「そうよん・・。私んは、天才ん魔法少女ん?・・なんでもん、お見通しよん♥」
すると・・突然、セシエルはリカードに抱きついた。
「セシエル様・・何を?」
「愛んのん逃避行んわん・・私んアルフィンを守らなければんいけないんだけれどん・・・私んも、時んのん神殿んにん行くわん・・リカードンちゃん達んと一諸にん」
「愛の逃避行?・・時の神殿?」
「二人ンはん、おそらくん・・ヒンディールんのン南んにあるん・・。時んノン神殿ンにいるワン。何故んかンは、わからないけれどン。それん以上ハン私んでも、ボンヤケてん見えないのん。全てんはん私んのん心んのん鏡ンに映るんはずなのにん。」
「心の鏡ですか・・二人は、ヒンディールの南の、時の神殿と言う所に」
「そうよん。リカードんちゃん。アステルんちゃんは、わかるんわよねん・・・。」
セシエルが意味深に言う。・・アステルは、その言葉に答えない。
「まあん、いいワン。本当んはん私んはアルフィンを守らなければんならないんだけれどん。リカードンちゃん達んと時んのん神殿に行くわん。・・ふふふふん・・禁断んノン愛ノン逃避行ねん。」
セシエルがリカードに微笑む。それはそれは、天使の様な無邪気な笑顔で。
あっけに取られる一同の中でツキハだけが、冷静に考えていた。
(あの女の魔力の実力、すごいな。・・瞬時に俺達のん名前ん素性んがんわかるとんわな。さすがん大賢者ん。・・ああっ俺もセシエルの口調が、うつっちゃったぜ)
一行はヒンディールの南、時の神殿へ。・・
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