愛の歌
今回も天空の園です
天空の園の最奥部に着いたリカード達。そこには人ぐらいの大きさの赤い薔薇があった。
「これじゃあリカード君、これなんじゃあ・・この薔薇を泣かす事ができれば、アルフィンの石が手に入るぞ」
「この薔薇ですか・・どうやって泣かせるんですか?」
「この薔薇はのう、命が宿っている。いわば薔薇の形をした人間じゃあ。しかも普通の人間ではない、元は大魔導師だったと言う噂じゃあ。その涙には蘇りの力があると言われているんじゃあ。どんな苦労話でもいい、するんじゃあ」
「苦労話ですか、昔男やもめでセシリーを育てたこととか」
「そんなんじゃなくて悲しい話じゃあ。ワシはのう、幼稚園時代にセシエルの奴に初恋の相手を取られたんじゃあ・・その時は悲しゅうて悲しゅうて」
「それでセシエル様を敵視しておられるんですか」
「んもう・・ヨランダちゃんはもうん、そんなん事ん今までん憶えてんたのん」
アイリスハート先生の悲しい話では、赤い薔薇は泣かなかった。
「ゼニアス・・お前は悲しい話はないかの?まあセシエルはかなりの楽天家だからないとして」
「僕もないだですよ。・・生まれた時からハッピーだですよ」
「うーむ、どーすればいいんじゃあ」
「先生・・歌を歌いましょう。悲しい歌を・・ほら先生の家で歌った歌です」
「そうか薔薇の花は君への愛の花か・・そうじゃあ」
気分を出すために、リカードに白いタキシード姿になる魔法をかけた。
そしてイリュージョン魔法で舞台を用意した。
リカードが歌を歌い始めた。
薔薇の花は君への愛の花、静かに目を閉じると、君の姿が浮かんでくる・・君の笑顔が浮かんでくる。君がある日いなくなってしまった。僕の最愛の人。
僕はどうすればいいのか・・どこにゆけば君に会えるのか。君にもう一度会いたい。・・せめてこの薔薇の花を君の墓に捧げよう・・
ゼニアスが魔法で白いピアノを出すと歌にメロディをつけた。セシエルも魔法で白いドレスに着替えると、コーラスを始めた。
アイリスハート先生が、指揮者になった。
リカードはデトレフの事を思い出していた。今、友の為に仲間の為に歌うよ・・
全力で。・・
リカードは歌い続けた。リカード、ヨランダ、セシエル、ゼニアスの心が一つになった、その時。
赤い薔薇の上に大きな瞳が現れ、石ころぐらいの大きさの青い涙を流した。みるみるうちに涙は固まり、硬い石になった。
わーっ4人は思わず抱き合い歓喜した。
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