茨の罠
今回も天空の園です
天空の園にて、リカード、ヨランダ、セシエル、ゼニアス達が先を急いだ。
「命の石、アルフィンの石はどこにあるんですか。」
「アルフィンの石は、薔薇の涙じゃ」
「はあ?涙ですかあ」
「そうじゃあ・・リカード君。涙じゃあ。薔薇を泣かせるんじゃあ、難しいぞリカード君」
「お花が泣くんてんどーゆんことん。ヨランダちゃん」
セシエルが魔法で鏡を出し、自分の顔に見とれながら言った。
「まったく、お前は呑気じゃのう、セシエル・・」
「姉さんは、頭の中もお花畑のように僕は思うですよ。弟の僕から見てです」
「よう言った。ゼニアス・・お前は正しい」
ヨランダが、もっともらしい顔をして言った。
「照れるですよ。ヨランダ様」
「もん・・ヨランダちゃんもんゼニアスちゃんもん私ンを馬鹿んにしてん」
この人達の会話に、ついていけない・・リカードはそう思った。
色とりどりの薔薇が浮遊している。その瞬間、リカードの足に何かが絡みついた。
巨大な薔薇の茨だ。まるで生きているようにリカードの体に絡みつき、縛り上げた。
「リカード君!」
「まずい!あの茨は生きてるんじゃあ。絡みついた相手が絶命するまで、縛り上げるんじゃあ・・魔法で切ることもできるが、リカード君の体も同時に傷つけてしまうのじゃあ」
さあ、どうすれば。・・
その時だった。セシエルが自ら、自分の体に茨を絡みつかせた。セシエルの体は
リカードと同様、茨に締め付けられた。
「セシエル、どうするつもりじゃあ」
すると、セシエルの体は熱を帯び赤くなった。
ジュッ!赤い炎がセシエルの体を包み込むと、茨が音を立てて燃え始め、体に絡みついていた茨を焼きつくした。
炎はリカードの体に巻きついていた茨も、焼き・・ 二人は茨から開放された。
「リカードちゃん・・お怪我んは、なかんたん?」
「はい・・どうもありがとうございます・・セシエル様」
やはりこの女はただものじゃなわい。自らを、まず犠牲にしてリカード君を助けるとはのう。
「何ーんヨランダちゃん、ぼんやりんしてるんのん」
「な・・なんでもないわい!早う行くのじゃ」
そう言うと、ヨランダは怒った様に、先を急いだ。天空の園のその奥へ。
この先、どんな危険が、4人を待ち受けるのだろうか・
読んでいただきありがとうございます。