フブキの手紙
コロコロ場面が変わりますが今日は暁の家です
暁の家の一室は、重苦しい雰囲気に包まれていた。
デトレフが何かをブツブツ言い始めた。
「・・二人を生き返す・・ぜったいに・・」
ツキハが重い口を開いた。
「俺は思うんだが・・俺は皆と会う前は、こうして一諸に旅する前は、殺し屋みたいなチンピラみたいな事してたよ。でも、もうやめようと思うよ。殺しは・・他の生きる道を探すつもりだ。俺には何が正義で何が悪なのかよくわからん
俺は皆に比べたら、悪い奴だろうし・・でも自分の中に規則みたいなのが、あって女と子供は殺さない・・それが俺の中での正義だ。でも一度だけ、あの白い女に喧嘩ふっかけたが・・」
「・・何が言いたいんだ・・あんたは」
「デトレフさん・・俺は随分目が優しくなったと思うぜ。あん時に比べると、でも・・あんたは・・今のあんたは・・あの時のヤサグレてた俺みたいな目をしてる。人を恨み憎んで、そんな目だ。そんなあんたを見ても妹は喜ばないよ・・あんたの妹もだ。俺はあの二人の死は、運命だったと思う。死んだ人は生き返らないよ。・・もし生き返らせたのなら、神を超えちまう。・・あの二人の魂は、多分・・天国だよ・・今頃。それを生き返らせるなんて、残された人間のエゴさ・・俺たちもいずれは死ぬ。あの二人はそれが、早いだけなんだ。」
「でも・・やりきれるか・・あんたの妹だろう?・・遊び半分で殺された。」
デトレフが無念そうに言った。遊び半分で、殺された。・・僕の心にその言葉が突き刺さった。詩音も・・そうだった。
「これをデトレフさん、あんたに・・フブキがあんたにあてた恋文だ。俺に渡せってフブキに頼まれてたが・・なかなか渡せずにいた。でも今、渡すよ」
その手紙には、フブキのデトレフへの思いが綴られていた。
「デトレフ殿・・せつしゃ、いえ・・私は貴方の事が好きです。貴方の少しドジですが、何事にも頑張る・・貴方の姿が。貴方を見ていると優しくなれます。
貴方の側にいて一諸に笑い、泣いて、歩いてゆきたい。貴方の存在は私の光りです。」
デトレフの両眼から涙が溢れてくる。コバルトブルーの瞳が涙で濡れている。
そして手紙から、目をそらした。
「君を死から蘇らせてみせる・・ランスロッテもだ・・。蘇りが神の領域だというのならば、僕が神になる」
デトレフの決意は固くなった。
読んでくださりありがとうございます