表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/274

フブキの手紙

コロコロ場面が変わりますが今日は暁の家です

暁の家の一室は、重苦しい雰囲気に包まれていた。


デトレフが何かをブツブツ言い始めた。


「・・二人を生き返す・・ぜったいに・・」


ツキハが重い口を開いた。


「俺は思うんだが・・俺は皆と会う前は、こうして一諸に旅する前は、殺し屋みたいなチンピラみたいな事してたよ。でも、もうやめようと思うよ。殺しは・・他の生きる道を探すつもりだ。俺には何が正義で何が悪なのかよくわからん

俺は皆に比べたら、悪い奴だろうし・・でも自分の中に規則みたいなのが、あって女と子供は殺さない・・それが俺の中での正義だ。でも一度だけ、あの白い女に喧嘩ふっかけたが・・」


挿絵(By みてみん)


「・・何が言いたいんだ・・あんたは」


「デトレフさん・・俺は随分目が優しくなったと思うぜ。あん時に比べると、でも・・あんたは・・今のあんたは・・あの時のヤサグレてた俺みたいな目をしてる。人を恨み憎んで、そんな目だ。そんなあんたを見ても妹は喜ばないよ・・あんたの妹もだ。俺はあの二人の死は、運命だったと思う。死んだ人は生き返らないよ。・・もし生き返らせたのなら、神を超えちまう。・・あの二人の魂は、多分・・天国だよ・・今頃。それを生き返らせるなんて、残された人間のエゴさ・・俺たちもいずれは死ぬ。あの二人はそれが、早いだけなんだ。」


「でも・・やりきれるか・・あんたの妹だろう?・・遊び半分で殺された。」


デトレフが無念そうに言った。遊び半分で、殺された。・・僕の心にその言葉が突き刺さった。詩音も・・そうだった。



「これをデトレフさん、あんたに・・フブキがあんたにあてた恋文だ。俺に渡せってフブキに頼まれてたが・・なかなか渡せずにいた。でも今、渡すよ」



その手紙には、フブキのデトレフへの思いが綴られていた。



「デトレフ殿・・せつしゃ、いえ・・私は貴方の事が好きです。貴方の少しドジですが、何事にも頑張る・・貴方の姿が。貴方を見ていると優しくなれます。

貴方の側にいて一諸に笑い、泣いて、歩いてゆきたい。貴方の存在は私の光りです。」


挿絵(By みてみん)



デトレフの両眼から涙が溢れてくる。コバルトブルーの瞳が涙で濡れている。


そして手紙から、目をそらした。


「君を死から蘇らせてみせる・・ランスロッテもだ・・。蘇りが神の領域だというのならば、僕が神になる」


デトレフの決意は固くなった。

読んでくださりありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ