コバルトブルーの瞳
デトレフの住居権宿屋「暁の家に」帰ってきた。憔悴しきった僕達、しかも二体の亡骸・・を担いできた僕達を見て、デトレフの両親が驚いた。
「あなた達、どうしたの?・・まあ・・その子達ランスロッテとフブキちゃん?死んでいるじゃないの・・」
デトレフの母ミリアが、息子そっくりのコバルトブルーの瞳を大きく開けて叫んだ。
「母さん、これは・・死んでないよ!生きてるんだよ・・眠くてしょうがないって言うから、担いできたのさ」
デトレフは嘘をつき、その場をやり過ごした。
そして、「暁の家」で使われていない部屋に、僕達は入り、ランスロッテとフブキを重ね合わせるように、寝かせた。
フウマが爆発した様に大泣きし始めた。
「二人共、かわいそうでござるなあ・・何故・・こんなあ・・フブキ、兄らしい事できなくてごめんでござる」
二人の死体にしがみついて、フウマが嗚咽した。
「痛っかたっでござろう、辛かったでござろう・・二人共・・フブキ・・もう一度この兄に微笑んでくれでござるー」
まるで、通夜のようになった。
昨日笑い合っていた人間が今は・・こんな事てっ僕は人の死を3度も、目の当たりにした。
どの人も年が若く、突然の死。悲しむ暇も無く、あっという間に火が風に消えてしまうように、あっけなく・・・僕は死について考えた。・・僕らの後ろには、
まるで影のように、死が付きまとうのだ。生きている限り、その宿命から逃れられないんだ。明日僕も生きてるだろうか?危険な旅だ。いつ命を落としても、しょうがない。
不意にミカエルドとセシリー、あの詩音を殺した男達の顔が浮かんだ。改めて・・奴らに対する憎しみがわいてくる。
だが、今はどうすることもできない・・どうすれば・・いいのだろう。
デトレフが二人の瞳・・大きく開いていた瞳を閉じさせた。
瞳を閉じさせた二人は、まるで眠てっるようだ・・
アイリスハート先生がくれた錠剤・・翼の魔法も消えずに腐敗もしてない、そのままあの時の瞬間を瞬間冷凍したみたいだ。僕達の魔法(性転換魔法)はすぐ消えたというのに。・・
デトレフが、じっと二人を見つめていた。何を考えてるんだろう。
メガネの奥の深い夜空の様な、コバルトブルーの瞳が揺れていた。
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