セシエル登場
「もう二人は戻ってこない」
その言葉が、デトレフの心に深く突き刺さった。
「私は行く所がある」
そう言うとリカードは瞬間魔法で逃げるように去っていった。
「あいつ、逃げたな」
「デトレフさん、リカードさんは逃げたんじゃないわ・・何か方法を探しに行ったのよ」
「これからどうする・・僕の家に来ないか、みんな疲れているだろうし」
この近くにある、宿屋兼住居である「暁の家」・・・皆は同意し、ランスロッテとフブキの亡骸を担いだ。
何故か二人の死体は、腐敗していなかった。
小さな花が二つ散った。子供が赤とんぼを潰すみたいに・・簡単に、無邪気に・・残酷に・・目が眩しいほど、光が強くて、もう未来が見えない。・・
ここはモルドワールのアイリスハート先生の家。
リカードが、事のいきさつを話した。
「そうか、フブキさんとランスロッテさんが・・ワシのせいじゃあ・・ワシがあの時、君達を止めていれば」
「先生・・人の命を蘇らせることは可能ですか・・そんな魔法ありますか?」
「二人の死体の状況は?」
「なぜか二人の死体は腐敗しません・・多分ミカエルドが二人を人形として飾るために、腐敗しない魔法を使ったのでしょう」
「うーむ・・魂を入れる器はあるか・・だが肝心の魂はない。アルフィンには、命を吹き込むことができる、魔法の石があるが・・その人の魂とは違うので・・
その人の人格は・・」
「何二人で難しいお話してるのよん」
突然、ピンク色の傘を持ち、ピンク色のスプリングコート風の上着を着た女性が現れた。亜麻色の艷やかな髪をリボンで飾り、透明な水色の瞳していた。
身長は163cmくらいで、スレンダー・・年は23歳くらい。
お嬢様風の上品な顔立ちをしていた。
「お前はセシエル・・話を聞いていたのじゃな」
「セシエル・エヴァハート・・あなたは・・もしやアルフィンの五大賢者の一人」
リカードが慌ててお辞儀をした。
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