悪女
「うわあああ」デトレフが叫んだ。
フブキとランスロッテの死体はセルロイドの人形と一諸に飾られていた。
二人とも男性から女性の体に戻っていた。魔法は解けていたようだ。
デトレフがすぐさま二人に駆け寄り、抱きしめた。
「フブキ、ランスロッテ」
デトレフが声を枯らして叫ぶが、二人共返事がない。
「ああ、その二人」
ミカエルドが挑発するように言った。
「僕はオヤツを食べたくて、裏口から台所に行く通路に行ったんだ。そうしたらさあ・・その二人がのたうち回ってたわけ、背中に翼みたいなのが生えてるじゃない。そう言えば、天使の人形がほしかったからさ。近くにいた衛兵に首を絞めて、大人しくさせたわけだ。そしたら・・死んじゃたわけ・・まあ最初から殺すつもりだったわけ。衛兵は嫌がったけれど、言うことを聞かせた・・そんでここまで奴ら(衛兵)に運ばせたわけさ」
そして今度は何とセシリーが
「私が着替えさせたのよ・・本当の天使みたいでしょ。白いドレスを着て」
「あはははは」と二人が残酷に無邪気に笑う
僕は唇を、血が出るほど噛んだ。なんで、こんなことができるんだ。セシリー・・フブキはお前の事を可愛がり、ランスロッテは親友だったんだぞ。
リカードが震える声で
「じゃあ、エルンストもお前たちが」
「ああ、あいつね・・エルンスト君、アンネリース(セシリー)が生意気で気に食わないってゆーんだよ。そんで、あんた(リカード)とミロクを暗殺して来いてっ・・命じて地上に落としてアルザエムに頼んで、雷を落としてやったんだ」
リカードは愕然とした。セシリーとエルンスト・・私は二人に裏切られたのか。
「ころ・・してやる・・」
魔法が解け男性に戻ったデトレフが低い声でつぶやいた。
デトレフがミカエルドに向かってライフル銃を発砲した。
しかし衛兵を盾ににすると、ミカエルドの右手から黒いブラックホールのような物が現れた。それはどんどん大きくなってゆく。
「危ない・・みんな逃げなきゃ」
アステルはミロクに変身した。
まず・・僕とフウマとツキハを乗せて、フィオナも無理やり乗せた。リカードはチラチラ、セシリーを見ながらも・・ミロクに乗り込み、デトレフは、フブキとランスロッテを担ぎ上げ、ミロクに飛びのった。
ミロクは、ミカエルドの部屋の天井を勢いよくぶち抜くと、そのまま空を飛び出した。
そしてヒースランドのヨルクガンドの森へ急降下した。
スドーン・・すごい音を立ててミロクが着地した。みんな気を失った。
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