美少女丘江詩音
作者が初めて書く小説です 見てやってください
その映画のシーンに僕らは釘付けになった。
……ヒロインがビルの最上階で、追い詰められている。悪漢がにやりと笑うとヒロインを突き飛ばし、彼女は足を滑らせビルの最上階から落ちた。夜空の底に吸い込まれるように落下してゆくヒロイン。そして主人公が最上階に彼女を助けようと登りつめたとき・もう時は遅し ヒロインは道路にカラダを叩きつけられ死んでいた悲嘆に暮れる表情の主人公そして夜の闇の中で、主人公の怒りの復讐が始まる。
「つまんなかったね……この映画……」少女が大あくびをする・僕もつられて……大あくび……いっきに日常ヘと戻る僕達。
「そうだな・あのラスト直前でヒロインが死ぬのは酷いよな」
少女が……ミニスカートから、伸びる長くて美しく白い足をパタパタ動かす。
「そうよね・あれはないよね」
少女が形の良い薄桃色の唇をとんがらせた。僕は少女を あらためて見つめた。小さなハート型の形のいい顔……大きな金色の瞳、薄い絹のようなサラサラのロングヘアー……色素の薄い・真っ白い肌 少女が、彼女の祖父は北欧人……の血を引いているのがよくわかる。
かなりの美少女だ。この美少女の名前は丘江詩音、僕の幼馴染だ。
おっと・僕の名前 八木昴、平凡な・ごく平凡過ぎる高校一年生。いや人一倍運動神経が良いことを除けば並外れて美しい幼馴染みがいる事を除けば……何もかも普通。
今日は僕の部屋で映画鑑賞会だ。僕と詩音は別に付き合っているわけではなく、良い友達・良い幼馴染という感じだ。普通の日常だ・僕らの日常清潔で安全で平和で戦争とか戦いだとかは遠い国遠い世界の事だ。僕の将来、おそらくそこそこの大学へ行き、勉強して父親と同じ地方公務員になり、そして誰かと家庭を築く僕には特別な夢などなく、平和に暮らせればそれでいいんだ。僕の保守的な両親もそれを望んでいるはずだ。
だが・予想してなかった。この後詩音や僕の身に降りかかる事を。望んでいなかった宿命を。「次は何を見る?」
僕が唐突に言葉を吐いた。
「外に遊びに行こうよ……まだ明るいし」
「えっ今12月の真冬だぞ……詩音……コタツから出たくないよ・僕」
「運動よ運動・あたし・この頃少し・体重増えたし……」
……詩音のスラリとした・スレンダーな肢体を眩しそうに見つめた。
美しい猫の様な黄金色の大きな瞳が煌めいた。
「さあゆこうよ・面白いとこに」
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