ルス神様....いいの?
本作品は、中年のおっさんの個人的なAIへの興味から派生し始めたものにつき、
作者が好き放題書き散らかしています。
ですので、皆さんが普通は書かないような事にこだわったりしてしまっています。
生理描写や衛生描写等が重く書いてる本人もスカッと全くしておりません。
お気に召さねばそっと閉じていただけると登場人物たちも喜ぶと思います。
それでも、お付き合いしていただける方はどうぞよろしくお願いいたします。
ルナの横顔は、清々しいほどに輝きくりくりとした表情が可愛いらしい。だが、リュンヌは知っている。
その「お話」の着地点が、おそらく昨日と同じ「お布施(集金)」であることを。
「....恥ずかしい。....隠れたい....。」
リュンヌは頬を赤く染め、不格好な自分の大切な相棒で顔を半分隠す。
ルナの「お仕事」という名のステージに気づかぬうちに、リュンヌは無理やりゲストとして立たされていた。
ルナの説法(?)は、次第に熱を帯びていく。
「いいですか皆様、自分を安売りしてはいけません。適切な休息と、適切な報酬! これこそが神の望まれる幸福指数なのです!」
タメをルナは作り説法を更に加速させる。
「ルスの神様は皆様に労働と言う輝きと報酬という得がたい悦びを与え給いました。日々の暮らしに私は感謝しております。」
ルナはわざとらしい祈りを捧げる。
「大いなる主、ルス神は私にある日、夢で告げられました。ルナよ、働く事は尊き事だが世には誤って身を粉にしてまで働くものがいる。」
突然、ルナの語りが独白調になる。
「汝はそのものの為に旅をし我が真なる教えを広げよと。」
ルナは美声を響かせる。
「....何....初めて聞いた....。」
リュンヌはナギナタに救いを求めるように握りしめ、ぱっちりとした瞳を愕然と見開いた。
隣でルナは、まるで本当に神と対話したことがあるかのような、慈愛に満ちた聖女もどきの表情で天を仰いでいる。
「そう、神様は仰いました....『ルナ、あなたには有能な同い年ぐらいの少女の護衛がいずれ必要になる。」
リュンヌは背筋に寒気を覚える。
「その少女は、あまりの重労働に心を痛め、脂汗を流し、今にも倒れそうなほど憔悴しているだろう』と!」
ルナの細い指先が、ビシイッとリュンヌを指し示す。往来の人々の視線が、一斉に猫背でナギナタに縋るリュンヌへと注がれた。
「(....私....使われてる....っ!)」
リュンヌは顔を真っ赤にし、ふっくらした頬をこれでもかと膨らませた。
確かに昨日は脂汗を流していたが、それは腹痛のせいであって、ルナの言うような「神託」に基づいた劇的な苦境ではない。
「皆様! 見てください、この可哀想な少女を! 彼女こそ、真なる教えを知らずに自分を削り続けた迷える仔羊なのです。」
リュンヌはルナに一瞬で主役にされてしまった。
「ですが、私と出会い、適切な『薬』と『休息』を知ることで、今こうして立ち上がることができました!」
ルナの声はさらに朗々と響き、感動(?)したおっちゃん、おばちゃんたちが「まあ、なんて徳の高い神官様かしら」と財布の紐を緩め始める。
「....詐欺....絶対、詐欺....っ。」
リュンヌは蚊の鳴くような声で毒づくが、ルナの営業スマイルは微塵も揺るがない。
「さあ皆様! この少女の未来に、そして皆様自身の正当な報酬のために、神への感謝を形にしましょう。」
ルナは聴取を見ながら大きな身振り手振りまで交えて煽るように言葉を放つ。
「これこそが、明日への『善行』なのです!」
リュンヌは、ルナの足元に置かれた「お布施用」の革袋に金属音と共に硬貨が投げ込まれる音を聞きながら、表現し難い複雑な気分で天を仰いだ。
「....ルス神様、....いいの? これ....。」
皮肉なことに、ルナのデタラメな言い回しは、その根底においてルス教の教義から一歩も外れていなかった。
真面目に働き、報酬を喜び、徳を積む。さすれば来世は光によって報われる。日々の労働を重視せよ。
この至極真っ当で、権力者にとっても都合の良い「光の教え」が、ルナの口を通すと一気に「効率的な金儲けの呪文」に変化している。
「さあ皆様! 徳を積むには白い心ですよ! 来世への徳を惜しんで黒い心を持ってはいけません!」
ルナの営業スマイルはさらに輝きを増し、投げ込まれる硬貨も銅貨から、時折、銀貨の鈍い音さえ混じり始める。
庶民たちは「そうだ、自分へのご褒美も神の思し召しだ」と、ルナの言葉に背中を押されるように納得した顔で去っていく。
「(....教え....怖い....)」
リュンヌは相棒をぎゅっと抱きしめ、ふっくらした頬を赤く染めたまま、見せしめの「救われた仔羊」としてその場に立ち尽くす。
「....ねえ....終わり? ....死んじゃう....っ」
「何言ってるの、これからが書き入れ時よ。ほら、もっと『救われたー!』って顔して、リュンヌ。」
ルナが耳元で、冷酷なまでの「低コスト高リターン」目当ての囁きを投げかけてくる。
ふと目線を落とし、もっと見てはならない事にリュンヌは気付いた。
初級神官とルナは名乗ったはず。だが光っているルナの胸元が。
リュンヌは、ルナの胸元で午前の陽を浴びてギラリと輝く銀色のチャームを凝視し、絶望に目を見開いた。
「(....嘘....あれ....嘘....?)」
それは、ただの飾りの類ではない。
神様の教えなんて書けませんね。小学校の朝礼みたいな内容になっちゃいました。
さて、どう考えても怪しいルナのお話になんで感動するヤツがいるんだという苦情は受け付けておりません。
そしてルナの正体はどう転んでいくのでしょうか?




